2016年7月、フランスの建築家ル・コルビュジエの建築作品がユネスコ世界文化遺産に登録されることが決定し、その中に含まれていた日本の国立西洋美術館も「世界遺産」の仲間入りをすることとなった。中国メディア・新華網は16日、日本人と同美術館をはじめとする日本の美術館との関わりあいについて紹介する記事を掲載した。

 記事は、同美術館がユネスコ文化遺産入りしたことにお膝元である東京・上野をはじめ日本社会が大喜びしたと紹介。そこには、栄誉の意識よりも「日本人が持つ、美術館に対す思い入れ」があると解説した。

 そのうえで、日本の美術館が「傑出した建築と傑出した収蔵品の融合であり、国民の美術教育とレジャー生活における重要な役割を担っている」と説明。収蔵作品のみならず、建物自体も優れたものであり、さらに美術館に付帯する庭園も観賞的価値が高いと評価した。美しい庭園を持つ代表的な美術館として、繊細な日本の美を再現した東京・根津美術館、芝生広場・日本庭園・西洋庭園からなる東京都庭園美術館を挙げている。

 記事はまた、日本の美術館によくみられる特徴の1つとして「企業や個人による、美術館建設や収蔵品への貢献度が非常に大きい点」についても言及。さらに、日本では美術館巡りがすでに市民生活の一部となっており、特に期間限定の特別展は長蛇の列に並んででも見ようとする人がたくさんいることを伝えた。

 このほか、美術館の文化を伝え、広めるために行政や民間がその設置場所にも工夫を凝らしており、上野や箱根など観光地や文化施設の集中したエリアを選んでいると紹介。また、美術の教育以外にも、文化交流という目的も与えられていると説明した。

 駅や電車の中で、博物館の催事ポスターを見て「おもしろそうだな」と思うことがしばしばある。実際に足を運ぶかどうかは別として、美術館は確かにわれわれの生活に近い所にあるということを感じさせる瞬間だ。生活に余裕が生まれ、様々な余暇の使い方ができるようになった中国でも、これから先美術館や博物館に日常的に親しむ風習が生まれてくるかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)tktktk/123RF.COM)