気に入らないことがあった時に、子どもが大声で泣きわめいて止まらない…よその子はしていないのに、何故? と不安を感じたことがある方もいるのではないでしょうか。

「いいママ症候群」の親が、ついしてしまう“危険な子育て”とは?

少し前に、Twitter上でも「泣きわめく子ども」についての話題が盛り上がり、公共の場で子どもが泣きわめく理由について、意見がまっぷたつに分かれていました。

具体的には、「子が泣きわめくのは、ふだん親が感情で我を通すのを子に見せているから」派と、「泣きわめく子だから、親も声を荒げざるを得ない」派に分かれているようでした。

今回、個性幼児教育専門家の立場から、難しいこれらの意見について考えていきたいと思います。

泣きわめくのは親のせい? 子どもの性格? 2つの意見の違いとは

まず、「親が普段から感情的だから、子どももそうなるのでは」と考える方の中には、自分自身が親から穏やかに接してもらっていたり、我が子にも冷静に接していて、子ども自身の性質も穏やかに育っている方が多いようです。

逆に「泣きわめく子だから親が声を荒げざるをえない」と考える方では、親が穏やかであったにも関わらず自分は感情的な性格であったという経験等から、親の性質より先に子の性質ありきと考える方が多いようです。

なぜ、公共の場でも泣きわめく子どもになるのか

みなさんは公共の場で子どもが泣きわめく理由について、どのように感じますか? どちらの意見も「なるほど」と感じますよね。

幼稚園教諭・保育士・右脳開発幼児教室の講師としてたくさんの親子を見てきた経験から断言できることは、子どもには個性があるということ。

同じ親が育てても、兄弟で全くタイプが違うことは多々ありますし、子育ては子どものタイプを無視して、親の性格だけでは語ることはできません。

子どもが泣きわめく原因をすべて親の対応のせいにしてしまうのは、少し無理があるように感じます。

しかし、子どもの駄々こねを悪化させる親の接し方は、確かにあります。

例えば、親と同じように我が強いタイプの子どもであっても、親が冷静にツボを押さえた接し方をすることで、ある時期がすぎると不要な駄々こねがなくなっていくこともあります。

逆に、親が感情のままに怒りをぶつけ、ブレたしつけをすることで、駄々こねが長引いてしまうこともあります。

普段親が感情で我を通すのを子に見せているからなのか、それとも、泣きわめく子だから親も声を荒げざるをえないのか。

どちらも一理ありますが、大切なことは、親が子どもにどう育ってほしいかです。

他の子どもと比べて不安になり、その不安をまた子どもにぶつけてしまうのが一番よくありません。

子どもをしつけるときに大声や暴力は必要ない

子ども関係の仕事をしていると、「言うことを全然聞いてくれず、一番手こずった子どもが、数年後に会ったらすごく立派になっていた」ということもたくさんあります。

他の、大人しくて聞き分けの良い子どもと比べる行為はすぐにやめましょう。比べていいのは、過去の子どもだけ。

昨日できなかったことができるようになっていたら、目一杯褒めてあげてください。

また、子どもをしつけることは大切ですが、しつけるとき、必要以上に声を荒げたり、手を出したりする必要性はありません。

もし、そうしたくなったときには、それは「子どものため」ではなく「自分の怒りを解消したい」のだと気付きましょう。

そうは言っても、親も人間。

私自身、これだけ児童心理を勉強して仕事にもしているのにも関わらず、我が子の子育てでは感情的に怒って、あとから自己嫌悪になったことも一度や二度ではありませんでした。

親業は、長く続きます。

時には、客観的に自分自身を見て、「なかなか頑張っているな」と認めてあげることで、子どもの良い面も見えてきます。

叱るべきところで野放しにし、甘やかすことはよくありませんが、子どもを心から受容し、承認することは大切です。

子どもは、親が自分を信頼していると感じると、次第にしっかりしてくるものです。

そして、忘れてはならないことがあります。それは、親子の数だけ子育てがあるということ。

以前、子育て相談に来てくださった方が、泣きわめいてつらいとき、子どもと一緒に親も一緒に泣きわめいてみたら、子どもがキョトンとしてその後ふたりで一緒に笑えた、というエピソードを聞かせてくださったことがあります。

「何が正しいか」にとらわれすぎず、親も子も、一緒に成長できるような子育てをしていきたいですね。