日韓国交正常化40周年を記念する特別講演会(読売国際経済懇談会主催)が3日、東京都千代田区大手町の経団連会館で開かれ、中曽根康弘元首相(87)と韓国の金鐘泌元首相(79)が日韓関係や東アジア共同体について考えを述べた。

 金元首相は「韓国と戦争しない限り独島(竹島)を奪うことは不可能」「日本が領有権の主張をやめ、現状を認めて未解決の状態で解決にしておく方法で考えて欲しい」と話した。北朝鮮との関係については、6カ国協議が機能していないと指摘しながらも、「解決には日米はじめ他国の協力が不可欠」との認識を示し、「北東アジアの恒久的な平和実現のために北朝鮮を民主化させ、絶え間ない挑発的行為をやめさせることが必要」と話した。

 靖国神社参拝問題や歴史認識については、「天皇や首相の謝罪を評価しながらも、一部の指導者の暴言を記憶している。総論で謝罪し、各論で弁明と否定をしていると感じている」と非難。国民同士が経済的・文化的に交流して出来つつある友好関係の土台を崩さないために、両国の指導者たちが歴史認識を共有することの重要性を訴えた。

 中曽根元首相は自らが首相になったときに初の外遊で韓国を訪れ、韓国語でスピーチや歌を披露したことを回想し、日本にとっていかに韓国との関係が重要かを話した。東アジア共同体構想については、FTA(自由貿易協定)のネットワークが張りめぐらされて経済協力機構ができ、それから政治の協力体制ができるだろうと話した。同共同体の範囲は「10+3(アセアン10カ国プラス日本・韓国・中国)に限るのではなく、インドやオーストラリア、アメリカなどを排除せず、大きな枠組みの中のインナーサークルとして捉えるのがいい」との認識を示した。【了】

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