経営、財務、人材など中小企業向けのコンサルティング事業を広く展開するエフアンドエムは、中小企業の人材育成に関する実態調査を発表した。調査は、2016年の1月1日から3月11日にかけて、同社が提供する中小企業向け管理部門支援サービス入会企業を対象に、人材育成に関する調査を行ったもの(有効回答数909社)。調査では、71%の企業が「定期的に実施している」「不定期に実施している」と答えている。

従業員数別では31〜100名以下の企業群では実施していない企業が16%であるのに対して、従業員数11〜30名以下の企業では「実施していない・未回答」が30%。6〜10名以下では35%となり、規模が小さくなるにつれて実施できない企業の割合が大きくなっている。教育訓練の内容については、技術系研修がもっとも多く、次いで知識研修と業務に直結するものが上位を占め、次いで態度・マナー系研修、リーダー向け研修、コンプライアンス系研修と続いている。

年間の研修予算は、30万円以下の企業が過半数の53%、1,000,001円以上の企業が21%で、年間研修予算の平均額が726,429円となった。これは前回調査結果(2014年4〜9月調査)の764,397円とほぼ横ばいの結果となり、中小企業における従業員に対しての投資が、なかなか進められない状況が明らかになっている。

厚生労働省では、企業内での従業員の人材育成に取り組む事業主に対しする「キャリア形成促進助成金」や有期契約労働者に対する「キャリアアップ助成金」など企業にとっての人材開発、個人にとってのスキルアップを後押しを促進する制度を設けている。人材育成にまで投資がなかなか進められない中小企業においては特に、負担を軽減しながら生産活動の核となる人財を育てていくことが期待される。

(長岡弥太郎)