そつなくチャンスを生かした専大附がコールド勝ち

拓大一・西澤君

 底冷えのする3月。国立市にある桐朋グラウンドも5℃前後の気温の中、春季大会の一次ブロック予選は始まった。全国でも最も早い公式戦といっていいだろう。どちらも系列校の大学(専修大、拓殖大)が、東都連盟に加盟している学校同士で、興味深い対戦となったが、チャンスをしっかりとモノにした専修大附が大差で拓大一を振り切った。

 専修大附は初回に先頭の小幡君が左前へクリーンヒットすると、続く野沢君がしっかりと送った。このあたりは岩渕 一孝監督好みのきっちりとした野球ができていていい滑り出しだった。その後、四球もあって二死満塁となってから、6番・中村君が遊撃へ内野安打し、送球が乱れる間に二走も帰って2点を先取した。

 さらに、2回にも専修大附は一死から9番・新谷君の内野安打と四球で一、二塁とすると、2番・野沢君が痛烈な三塁線の二塁打で追加点を挙げ、4番・広岡君もタイムリーを放ち2点。これで、専修大附は試合の流れを掴んだ。

 4回には2つの失策や四球などにも乗じて、5番・籾山君の左前打などで4点。これで、拓大一の松井 貴寛監督は、先発の西澤君を代えざるを得なくなってしまった。

 しかし、代わった荒井君に対しても、専修大附は5回こそ3人で抑えられたものの、6回は1番からの好打順を生かして、四球、バント野選、バント安打で無死満塁とすると、4番・広岡君が一、二塁間を破るタイムリー安打。さらに押し出しの後、籾山君はフルカウントから自信を持って振っていった打球が中前打となりコールドゲームを決める11点目となり、そのままゲームセット。

専大附・宮島君

 岩渕監督は大勝に対しては、「秋は一発で負けてしまっていましたから、この冬はとにかくバットを振りましたよ。グラウンドがなかなか取れなかったということもあったんですけれども、全員1日600本は振っているんじゃないですか。守備に関しては、あと1週間、グラウンドも借りられましたからしっかりと鍛えていきます」と語っていた。とはいえ、守備もよく練られているという印象を与えてくれた。

 投手は6人用意しているという専修大附だが、この日は左腕の継投だった。先発した17番の宮島君はしなやかなタイプだ。4回には伊藤 大君に二塁打されるなど3安打を浴びて1点を失ったものの走者を出しても粘り強い投球だった。

 変則タイプの横手投げの山口 拓馬君は、先頭に四球を与えはしたものの、独特のフォームから鋭く食い込む投球で打ち取っていた。実は、16番で控えている双子の弟・拓也君も投手で、こちらは右の横手からの変則だという。双子で左右の変則継投も面白い存在となりそうだ。

 ほとんどいいところを出し切れなかった拓大一は、修学旅行と試合日が重なり、何人かが欠けていたという不運もあった。四球で走者がたまって失策が出るなど、よくない流れに乗ってしまい、それを切り替え切れないままに大量失点となってしまったのは悔やまれる。

(取材・写真=手束 仁)

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