中京大中京が凌ぎ合いの投手戦で愛産大工を退けベスト8に進出3回に2ランを放ってホームインした中京大中京・大西君
<第75回愛知県高校野球大会:中京大中京4−1愛知産大工>◇18日◇3回戦◇熱田愛知時計120スタジアム
台風14号の影響もあるのだろうか、朝から雨が降ったり止んだり、時にカーッと晴れ間が出たりと、目まぐるしく変わる天候の中で試合は始まった。日が照ってくると、まだ蒸し暑さもあるという、難しいコンディションでもあった。
この夏は、ノーシードとはいえ有力校に挙げられていながら、よもやの3回戦で東浦にコールド負けした中京大中京。新たな出直しとなった新チームは、高橋源一郎監督が、「あの夏の負けからのスタートとなった夏休みの練習は選手もスタッフも、必死でやった」という成果もあって、まず名古屋地区予選では2次トーナメントも勝ち上がり、夏の甲子園出場を果たした愛工大名電も下して1位通過となって、シード校として県大会進出を果たしている。
対する愛知産大工は、コロナ禍で選手権大会は中止となった一昨年夏の独自大会で準優勝している。計らずも、その決勝の相手は高橋 宏斗投手(現中日)らを擁する中京大中京だった。愛知産大工の新チームはそれを見て入学してきた代が上級生となっている。天野京介投手(2年)と久保 大輝捕手(2年)のバッテリーは周囲の評価も高い。
中京大中京の先発マウンドは1年生左腕の中井 遥次郎投手で、縦カーブの変化が鋭い。それに、直球もちょっと打者が見づらいという特徴がある。愛知産大工の先発は盤石のエース天野だ。どっしりとした体格で力強く投げ込んでくる。
中断を挟みながらも0が続いていた試合だったが3回、中京大中京は1番からの好打順で山田頼旺外野手(1年)が三塁打すると、1死後、西谷光世外野手(2年)の左前打で先制。さらに4番大西遼多内野手(2年)が左翼席に2ランを放ってリードを広げた。
しかし直後の4回、愛知産大工も失策と内野安打で2死一、二塁として、5番河合俊亮外野手(1年)が、しぶとく中前へはじき返して二塁走者をかえした。
その後は、両投手の凌ぎ合いという感じで試合は進んでいった。7回表、2死二、三塁を凌いだ中京大中京はその裏、先頭の中井が上手に中前へはじき返して出塁すると、暴投、捕逸が続いて三塁まで進む。ここで9番阪 怜我内野手(2年)がしぶとく三遊間をゴロで破って、三塁走者が生還。貴重な追加点が入った。
しかし、愛知産大工も粘る。8回は9番の代打・木村 幸浩(2年)が三塁線を破って出塁すると、すぐに代走の塚本隼斗(2年)が二塁盗塁を決め、鈴木将吾監督の起用に控えの選手たちがことごとく応えた。ただ、内野ゴロで1死三塁まで攻めたが、後続は中井に抑えられた。
結局、中京大中京は中井が8安打1失点で完投。高橋監督は、「バント失敗や4回の失点につながったエラーなど、挙げれば、まだいろいろと課題はあります。それでも、大量失点しないように、ミスは最小限でくい止めていくということはできていると思う。また、夏を経験して、その悔しさも味わっている江崎が主将としてチームをまとめ、捕手としてもいいリードをしてくれた」と、まずはチームがまとまって、しっかりと勝ちきれたことに安堵していた。攻撃に関しては、「中盤で、攻めきれないところはありましたが、大西が4番打者らしい働きはしてくれた。7回の相手のミスからの追加点は試合の流れとしても大きかった」と、振り返っていた。
なお、この日の熱田愛知時計120スタジアムに集合した4校は、中京大中京の高橋源一郎監督と今村陽一部長はもちろんのこと、愛知産大工の鈴木将吾監督と松尾一基部長。さらには次の試合の至学館の麻王義之監督と鈴木健介部長、豊橋中央の萩本将光監督と、いずれもが中京大中京出身者(麻王監督は中京)ということにもなっていた。改めて、愛知県での「中京ネットワーク」の強さも感じさせられることにもなった。
(取材=手束 仁)