中国で先日、江西省の農村出身男性と交際していた上海の女性が、春節を過ごすべく訪れた彼氏の実家で出された料理の貧相ぶりに絶句し、交際にピリオドを打つという出来事が報じられた。急成長した現代中国における、都会と農村の絶望的な差を象徴するような話だ。

 中国メディア・駆動之家は11日、このニュースにちなんで「どうして日本の女性は、農村出身の彼氏の実家に行っても逃げ帰ることがないのか」と題し、日本の農村が中国の現状と大きく異なることを紹介する記事を掲載した。

 記事は、「日本では、都会育ちの女性が少なくとも農村出身の彼氏の実家で供された食事に驚いて逃げ帰ることはありえない」と説明。日本の農村は早い段階で近代化され、その生活レベルも都会とほぼ変わらないどころか逆にホワイトカラー層を上回る生活をしている人たちも多いと解説した。

 そして、日本の農村が優れている点として、全国的な農家の組織である農協によって農業生産指導、農家の福利保障が行われていること、建物然り農地然り、非常にきれいで整っていること、道路の舗装率が高いほか、高速道路や鉄道などの整備によって遠出も可能であること、水道・電気はもちろん、衛生施設や店舗、ガソリンスタンド、スポーツ施設まで都市部に引けを取らないほどインフラが発達していることなどを挙げた。

 記事はさらに両国の農村の差はこれに留まらず、とくに農村住民の教育レベルが高いことを指摘。差の大きさは「実際に体験してこそ初めて分かるものだ」としたうえで、中国農村部の都市化に向けた道のりはまだまだ長いものであると結んだ。

 日本の農村部の暮らしが都会とほとんど同じくらいに快適で便利かは、一概には判断できないだろう。しかし、今の中国ほどは格差が存在しないというのは概ね間違いではなさそうだ。

 形式ばかりの農村の都市化では、ハリボテの建築物とゴーストタウンを大量発生させるだけである。農村住民の暮らし向きを改善するためには、どのような農村改革が必要なのかを考えなければならない。同時に、生まれながらに田園風景や農村生活を知らない「都会っ子」向けの、農村へのイメージ教育についても考える必要があるのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)