できれば無失点で切り抜けたかったです。でも、リオの切符を掴むには、これくらいスレスレのゲームを勝ったほうが良いと思うようにしています。それは選手にも話しました。
 
 
――多くのメンバーを入れ替えた今大会でしたが、このチームにベストメンバーはあったのでしょうか?
 
 まだまだ成長過程の選手たちに、『ベストだ』と決めつけたくはありませんでした。スタメンと、スタンバイの選手を分けた時、伸びしろがなくなるんじゃないかと思っていました。もちろん成長はしていくと思いますが、このチームは全員がスタメンを争うようなグループでいたほうが良いという感覚がありました。
 
 また、もしスタメンだと考えていたグループに怪我人が出たら、自分も相当なダメージを受けながらの指揮になります。だから自分としては“ベスト”を作りたくなく、考えたくないと思っていました。日本にとっての一番のベストメンバーは、A代表の11人です。オリンピックチームは育成段階だと思えば、ベストとは言わないようにしたほうが良いと思います。
 
――決勝の韓国戦は五輪本大会を見据えてのゲームになりそうですか?
 
「本大会を見据えてというよりも、とにかくアジアの1位になりたいです。日本サッカーはこのところ、アンダーカテゴリーでも、A代表でも負けてしまっています。ザックジャパン以来、アジアのテッペンを獲っていない状況で、期待をかけられていると思います。
 
 ロンドン五輪の時はベスト4という躍進がありましたが、3位決定戦で韓国に敗れてメダルを取れませんでした。韓国に勝つのと、負けるのとでは全然違います。そういう因縁の相手と当たるのは、ロンドン五輪の悔しさを一緒に晴らせる機会だとも思います。
 
――韓国の印象は? 今大会はちょっと今までと違うサッカーを見せている気がしますが。
 
 すごいタクティカルだと思います。3バックで試合に入って、メンバーを替えずに4-4-2へ変更できる。戦略的に楽しみな一戦になります。あとスキルのところも、中東との戦いと違ってより駆け引きの部分が多くなるのかなと思います。一本調子の駆け引きじゃなくて速攻、遅攻があるような、スリリングなゲームになるだろうと予想しています。逆にそのゲームシチュエーションがオリンピックにつながるのかなと思います。
 
――シミュレーションをやっていたと話されていましたが、韓国戦もシミュレーションに則ったメンバー、システムを考えていますか?
 
 考えていたのは6戦のシミュレーションではなく5戦のシミュレーションでした。改めてこれから考えようと思っています。決勝の相手は、韓国だろうと思って、分析を一番遅くしていたんです。気になっていたのでちょくちょくは見てもいましたが。今日の午前中にも試合を見て、おぼろげながらこうやってみようかなというのを考え始めたところです。
 
文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)