by Nic Taylor

小麦・大麦・ライ麦といった穀物に含まれるタンパク質の一種「グルテン」を取らないようにする「グルテンフリーダイエット」が健康によいと語られることも多いですが、新たな研究で「グルテンフリーダイエットの効果は人々が予想するものとは異なる」という可能性が示されました。

Gluten-free sports diets do nothing, study suggests | Ars Technica

http://arstechnica.com/science/2016/01/gluten-free-sports-diets-do-nothing-study-suggests/

過去に「グルテンフリーダイエットが効果的」という論文が発表されてから、アスリートたちの間でグルテンを取らないという人が急増しました。トレーニング中には血液が筋肉や心臓に集まることから、アスリートの多くは胃腸に問題を抱えており、グルテンを取らないことで腸内環境を正常に保ち下痢や腹痛を避けることができると考えられたためです。特に長距離ランナーやサイクリストはその約90%が胃腸に問題を抱えているとのこと。



by Amelia Gapin

しかし、新たにオーストラリアにあるタスマニア大学によって行われた研究では、二重盲検法が取られたところ、グルテンフリーダイエットによってサイクリストのパフォーマンスを向上させることはできない、という結果に。研究チームを率いたデーナ・リズ教授は「グルテンフリーダイエットが有益だという結果も、反対に体に悪いという結果も発見されませんでした」と語っています。

研究では、13人のサイクリストが2週間にわたって食事におけるグルテンの摂取をやめ、研究チームの指定したバーを食べるように指示されました。この時、バーはグルテンを含むものとグルテンフリーのものが用いられましたが、どのアスリートが何のバーを食べていたのかはアスリートも研究者もわからない状態にされました。

2週間後、研究者らがアスリートの体の変化を調べたところ、胃腸の調子・パフォーマンス・調子のよさ・炎症反応などにおいて、グルテンを含むバーを摂取した人と完全にグルテンフリーの生活をした人では違いが生まれなかったとのこと。



by Kai Friis

今回の研究は少数の被験者を対象に、比較的短期間で行われたものでしたが、リズ教授は「グルテンフリーダイエットや栄養について読んだり聞いたりしたことについて、人々はもっと客観的な目を持つべきです」とコメントしました。