昆布やわかめなどに含まれる「ラミナリン」を摂取すると、炎症性腸内疾患の発症が抑えられ、食物アレルギーの予防や治療も期待できると、東京理科大学と東京大学の共同研究チームが発表した。

炎症性腸疾患とは、免疫のバランスを制御し健康を維持している腸内細菌の乱れや偏りによって、腸内の粘膜に炎症が発生する疾患の総称。潰瘍性大腸炎やクローン病などが知られているが、食物アレルギーをはじめとしたアレルギー性疾患も腸内細菌の乱れと関連があるとされている。

研究グループは、キノコや酵母の細胞壁に含まれる「βグルカン」という成分が、腸内にある「デグチン1」というたんぱく質の働きを抑えると、「Treg細胞」という細胞が増加し、炎症性腸内疾患を抑制できることをマウス実験で確認した。さらに、海藻類に含まれるβグルカンである「ラミナリン」は通常のβグルカンよりも小さく、デクチン1の動きをより効果的に抑えることも確認したという。

研究発表は微生物学の学術誌「Cell Host & Microbe」2015年8月12日号(Volume 18, Issue 2)に掲載された。

参考論文
Inhibition of Dectin-1 signaling ameliorates colitis by inducing Lactobacillus-mediated regulatory T cell expansion in the intestine.
DOI:10.1016/j.chom.2015.07.003 PMID:26269954

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