[画像] 韓国vsオーストラリア

韓国、プロ未指名・金徳鎮の決勝打で3位

オーストラリア二番手・マクドナルド

 天候を考慮して3位決定戦は、午前10時から舞洲ベースボールスタジアムで行われることになった。スーパーラウンド3勝2敗で3位の韓国に対戦するのはオーストラリア。1勝4敗でオーストラリア、キューバ、カナダが並んだが、得失点差でカナダがまず脱落した後、オーストラリアとキューバの直接対決ではオーストラリアが勝っているためオーストラリアが上がるということになった。この成績が示すように、試合は韓国が優勢に進めたが、後半に思わぬ波乱が待っていた。

 3回裏韓国は、四球と安打の走者を置いて、この大会二刀流で活躍している3番朴鍾泳(パク・ジョンヨン)が左中間を破る三塁打を打ち、2人を還した。

 4回表、オーストラリアの攻撃中雨が激しくなり、試合は1時間余り中断。再開後の5回裏にも韓国は、重盗が相手バッテリーのミスを誘い1点。さらに6番朱暁祥(チュ・ヒョサン)の中前安打で二塁走者の林錫進は憤死したものの、もう1点を追加した。

 韓国は先発の下手投げの金彪勝(キム・ピョスン)が前半は危なげない投球であったが、オーストラリアが球に慣れ始めた6回表につかまる。四球と2本の安打で無死満塁のピンチ。後続の2人は抑えたものの、8番カリルがセンターオーバーの三塁打で満塁の走者を一掃し、オーストラリアは1点差に迫る。

 ゲームがおかしな方法に向かい始めたのは8回表。韓国の2番手・朴世津(パク・セジン)は、先頭の5番フルーにストレートの四球。ここで韓国の投手は抑えの切り札の1人、李渶河(イ・ヨンハ)に代わるが、その初球もボール。韓国の捕手・朱暁祥は判定にクレームをつけたところ退場。韓国ベンチのスタッフも球審にヤジを飛ばし、球審から退室させられた。

 雰囲気が険悪になる中、フルーは犠打と暴投で三塁に。ここで李はボークをして、試合は振出しに戻った。「落ち着かなければならないのに、子供たちは興奮してしまった」と、李鍾道(イ・ジョンド)監督は悔やみ、「タイブレークも覚悟しました」と語る。

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・2015年 第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ

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決勝打を放った金徳鎮(韓国)

 日本ではほとんどあり得ないが、韓国では審判に抗議する場面はよくみかける。それだけ審判に対する信頼が低いわけだが、韓国のチームではよく、一度審判の判定に不審を抱いたら、一気に崩れることも珍しくない。しかしこのチームは踏みとどまった。

 8回裏韓国は安打の黄善導(ファン・ソンド)と四球の朴相彦(パク・サンオン)を送り二死二、三塁としたところで、9番金徳鎮(キム・トクチン)の中前適時打で黄を還し勝ち越し。黄は今回のメンバーの3年生ではただ1人ドラフト指名を受けなかった選手。「打ったのはストレートです。初球狙いがうまくいきました」と殊勲の金は語る。プロ志望の金にとって、4年後の指名に向けて、弾みとなる一打になるはずだ。

 さらにこの回韓国は、崔元準(チェ・ウォンジュン)の右前安打、2番安尚鉉(アン・サンヒョン)の内野安打などでこの回一気に4点を入れた。

 9回表に1点を入れられたものの韓国が逃げ切り3位を決めた。試合後李監督は、「いまの実力だと、銅メダルも満足です。ただ、アメリカ戦(試合レポート)がかえすがえすも残念です。あそこで勝っていれば、日本の試合も、もう少しいい試合になったと思います」と語る。

 雨による3時間の中断の後、9回の逆転3ランでほぼ手中にしていた勝利を失ったアメリカ戦が、韓国にとってはこの大会のすべてであった。とはいえ、この選手たちが将来、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や、まだ採択されるかどうか分からないが、2020年の東京オリンピックなどで日本のライバルに可能性もある。その点について李監督は、「選手個々がいろいろ感じているだろう。安定した力が付けられるように、戻ってから練習していかないといけない」と先を見据えて語った。

(文=大島 裕史)

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