2歳のころに敗血症を患ったことで両手両足を失った8歳のザイオン・ハービーくんに、両手の移植適合者が見つかりました。世界で初めて子どもから子どもへの両手移植手術患者となり、フィラデルフィア小児病院で行われた移植手術は無事成功。ザイオンくんは術後2週間で、移植された手の指で物をつまめるようになっています。そんなザイオンくんに手術の1年前から密着したドキュメンタリームービーが公開されています。

First Bilateral Hand Transplant in a Child: Zion's Story - YouTube

この男の子が両手移植を受けた8歳のザイオン・ハービーくん。



手術を受ける1年前の映像。「僕が2歳のときに手と足がなくなっちゃったんだ。病気だったから」と話すザイオンくん。



手首でスマートフォンを操作するザイオンくん。



敗血症で手首・足首から先を失ったザイオンくんですが、足には義足をつけて歩き回ることも可能です。



手足を失って2年後、4歳になったザイオンくんは母親から腎臓移植も受けています。



医者に「筋肉のこぶ」を見せているところ。



8歳になったザイオンくんは、小児患者では世界で初めて、両手の移植手術を受ける被移植者に選ばれました。



フォークを両腕で挟んで食事もできるようになっています。



「私は『なぜ手がほしいか』と彼に尋ねました。ザイオンくんはとても賢い少年で、彼は『ジャングルジムにのぼりたい』と話してくれました」と話すのは今回の移植プロジェクトの責任者であるスコット・レビン医師。



そしてザイオンくんの母親・パティさん。



学校では友達と仲良くしているようです。



そしてようやく手術当日。開始3時間前のザイオンくんは不安そうな面持ち。



手術が行われるフィラデルフィア小児病院に救急車が到着。



移植される両手が運び込まれてきました。



ついに手術が開始。外科医・麻酔医・看護師を含め40人態勢で10時間に及ぶ手術が行われました。



移植手術は骨をアタッチメントでつなげて、動脈をつなげたあとに血流を回復させてから、深部静脈・表在静脈など全ての血管をつなぎ合わせます。続いて神経・腱と、全ての組織を接続し、最後に皮膚をつなげるという手順で行われたとのこと。



手術顕微鏡を着けて行われた手術は、繊細な技術が求められます。



移植処置が終わり、ピンで移植した手のひらを押して離すと、白く変色して……



すぐに赤みがさしました。これは血液が正常に流れていることを示します。



スタッフを前にレビン医師は「今後は合併症などのトラブルが起こることが予想されますが、我々は失敗を計画していません。少年の移植を成功させるため、それぞれの役割を果たして今後も最善を尽くしましょう」と呼びかけます。



手術結果を待つ母親のもとに医師が訪れました。「あなたに良い知らせがあります」



「あなたの息子は今、両手を手に入れました」と聞いた母親は涙ながら医師と感謝のハグ。



そして手術の2週間後、物心つく前から自分にはなかった手をじっと見つめるザイオンくん。



リハビリで手のひらをひらく訓練をしてみると、わずかに指が開いており、手術が成功したことがわかります。



初めて手を使ってものをつかむザイオンくん。まだ手が完全に機能しているわけではありませんが、今後のリハビリでさら複雑な動きができるようになると見られています。



ザイオンくんは「子犬を飼いたい!」と語っており、その表情はとてもうれしそうです。移植された手が自由に動くようになれば、今後の移植手術の重要な事例として役立てられるはずです。