転職クチコミサイトとは?

2016年4月入社を目指した大卒就職活動。この8月からは、大企業を中心とした経団連会員企業でも選考開始が始まります。内定は10月から解禁となっていますが、選考時点から優秀な学生には、企業側から積極的なラブコールが送られることになるでしょう。すでに、経団連会員以外の中堅・中小企業では、多数の内定者が出ており、真打ち登場となる8月は、実質的な就活終盤戦といえるかもしれません。

学生にとっては、いよいよ社会人生活のスタートを切る就職先を選ばなければなりません。特に、今年のような「売り手市場」においては、複数の企業から内定をもらえる人も多く出てきますので、この選択眼が人生に大きな影響を与えることになります。悩みどころではありますが、つい数年前の「就職氷河期」には味わえなかった、贅沢な悩みです。

明確に志望企業が決まっている人はともかく、まだ迷っている場合には、転職クチコミサイトの活用をおススメしたいと思います。

転職クチコミサイトとは、企業ごと社風や仕事内容・待遇など、働いてみての評価を、在職者や退職者が投稿しているサイトのことです。主だったところを挙げてみると、次のようなものがあります。

・転職会議
・Vorkers
・キャリコネ
・カイシャの評判

これらの情報は一部無料で公開され、すべての情報を見るには、会員登録(無料もしくは1,000円程度の会費)や所属企業の情報投稿(社員や退職者の場合)などが閲覧条件となっています。

■実際に働いた人から情報が得られる

おそらく、多くの学生は、「リクナビ」や「マイナビ」といった新卒情報サイトのほか、「みんなの就職活動日記」など就活生が投稿しているクチコミサイトやSNSを、主な情報源としていると思います。

しかし、これらの内容は、あくまで学生目線の情報でしかありません。新卒情報サイトには、企業の人事担当者や先輩社員からのアドバイスなども掲載されていますが、会社をPRするための媒体ですので、自社にとって不利になるようなネガティブ材料は出てきません。

一方、転職クチコミサイトの場合は、匿名で在籍企業や退職した企業の情報が書き込まれています。実際に働いたことのある人が、その会社の良いところも悪いところも投稿しています。表は、各サイトが設定している会社評価の要素です。投稿者の平均点が、各項目とも5点満点で表示され、総合評価点の業界別ランキングなども出ています。これら会社評価の項目は、就職先を選ぶ際の観点としても活用できるでしょう。

もちろん、在職者や退職者のクチコミだからといって、全面的に信用するのは危険です。退職者の多くはその会社と合わなくて辞めた人たちですし、在職者といっても一部の社員が投稿しているだけですので、鵜呑みにするわけにはいきません。中には、自社を少しでも良く見せようと、採用担当者が自ら投稿しているかもしれません。

とはいえ、複数の投稿者の意見を比較しながら読んでみると、働き手目線での企業風土や強弱ポイントが浮かび上がってきます。1人か2人ならともかく、何十人、何百人の投稿者が結託して意図された意見を流せば、不自然で違和感を覚えます。これは、アマゾンの書籍カスタマーレビューや、ぐるなびや食べログにおける各店へのクチコミなどと同様です。

例年、大学生の人気企業ランキングが、就職情報企業から発表されます。上位には誰もが知っている大企業や有名企業が並びます。ところが、過半数の学生は、中堅・中小企業に入社することになります。大企業や有名企業と異なり、中小企業の個別情報は極端に減少します。

その意味でも、転職クチコミサイトは有効です。零細企業はともかく、社員数100名前後の企業であれば、掲載されているケースも少なくないからです。

まずは各サイトで、就職先候補として考えている会社を調べてみてください。

(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文)