(台北 5日 中央社)法務部が4月下旬に行った世論調査で、84.5%が「姦通罪」の維持に賛成していたことが分かり、議論を呼んでいる。廃止派は僅か14.3%、姦通罪を支持する理由としては、「浮気の抑止力となり、家庭の安定を守ることにつながる」が最も多かった。

台湾には、1935年に制定された「配偶者がありながら第三者と姦通した者およびその姦通相手は1年以下の有期刑に処する」(刑法第239条)とのいわゆる“姦通罪”がある。刑法である姦通罪の成立には動かぬ証拠が必要で、配偶者の浮気を疑う夫や妻が探偵を雇い使用済みティッシュなどの証拠品を集めたり、刑事を伴い密会中のホテルに踏み込んだりは日常茶飯事。

韓国や欧州の一部には姦通罪が残されているが、日本やドイツは戦後に廃止。台湾では先ごろ、政府が海外から招いた人権問題の専門家らが姦通罪を問題視したことに在独経験の長い女性の文化相が賛同、「時代錯誤の法律は廃止すべき」と呼びかけ、女性団体などがこれに同調していた。

だが、法務部が1000人あまりを対象に行った電話調査では廃止反対が圧倒的多数で、法務部では「その国ごとに考え方があり、世論のコンセンサスは明確」「姦通罪は特定の性別や民族を対象にしたものでもなく、国連人権規約に反していない」との見方を示している。

【写真】姦通罪の廃止を訴える女性団体と国会議員ら(2013年3月)

(編集:高野華恵)