愛知県は28日、田原市の養豚場で新たに豚コレラの発生を確認したと発表した。昨年9月の岐阜市での発生から国内14例目となる。今回の発生農場は4農場が集まる養豚団地内にあるため、県は国と協議の上、他の3農場についてもウイルスが侵入している可能性が高いと判断。団地全体で飼養される豚計7619頭を殺処分することを決めた。

 同県では27日にも瀬戸市で豚コレラが確認されており2日連続の確認。県内での発生は4例目となった。

 今回の発生農場は、2月に発生した田原市の養豚団地から半径3キロ圏内にある。2月の発生を受けて設定していた移動・搬出制限区域は25日に全て解除されているが、県によると解除を前に、今回の発生農場でも検査を行い、陰性を確認していた。

 27日午前、豚に発熱や食欲不振の症状が見られると農場から県に連絡があった。同日中に県の検査で陽性を確認。28日に国の検査でも陽性となり豚コレラと確定した。

 発生農場は、養豚団地内の他の農場と堆肥舎や死んだ豚の保管施設を共同利用していた。国と協議した結果、団地全体での殺処分を決めた。

 大村秀章知事は28日、この決定について「断腸の思い。ただちに防疫措置と農家の経営再建に全力で取り組む」と述べた。県によると殺処分は4月1日、埋却と消毒を含めた防疫措置は5日に完了する見込みだ。

農水省疫学チーム 飲用水消毒も重要


 農水省は28日の拡大豚コレラ疫学調査チームの検討会で、9〜12例目の発生事例のウイルス侵入経路について分析結果を示した。感染した野生イノシシが近くで見つかった川の水を飲用に使っていたケースがあり、それが原因となった可能性があると指摘。車両の消毒や小動物の侵入防止に加え、水の消毒についても日々の作業で意識する重要性を呼び掛けた。

 分析したのは愛知県と岐阜県で2月13日から3月23日に発生した9〜12例目の4事例。

 9例目の愛知県田原市の養豚団地は、8例目と同じと畜場に出荷していたことなどをリスクとした。養豚農家が密集する地域については新たに、農場同士の共同施設の利用ルールを決めて感染を防止するよう求めた。

 岐阜県瑞浪市の10例目、山県市の11、12例目は、感染した野生イノシシが農場から900メートル〜1・4キロと近隣から見つかっていた。

 津田知幸チーム長は「イノシシが持っていた野外のウイルスが持ちこまれた可能性が疑われる。農場や豚舎に出入りするあらゆる物に対策が必要」と注意を促した。「行政の立ち入り検査による感染が否定できない事例があるため、詳しく調査・確認を進める」とも述べた。