1日、日本はカタールに1-3の完敗を喫した。試合後、報道陣の前を通る選手たちは一様に暗い表情をしている。その中を、誰からも話しかけられず、人一倍静かに東口順昭は通り過ぎようとしていた。途中で腰痛離脱があったことも影響し、アジアカップ7試合、このチームの中で東口だけに出番がなかった。

「(1人だけ出番がなかったことを)乗り越えたとは思ってないですけれど、マキ(槙野智章)とか声をかけてくれたんで。Jリーグではなかなか経験できない長い合宿期間だったので、体にも精神的に来るものがありました」

「でもマキとかが声かけてくれて、そういうところで気持ちが楽になって乗り越えたと思いました。マキは試合に出ていようがいまいが、率先して何でもやるし、声もかけるし、その姿勢は見習わなければいけないところだと思います」

▼ 写真中央・槙野智章

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


今回7試合のうち6試合に出場した権田修一は、2011年アジアカップに参加したが、このときは1試合も出番がないまま終わっていた。

東口は「自分の年齢(32歳)でそうなる(出場機会がない)のは悔しい」と漏らし、「今はまだ切り替えができない」「今までになく難しさを感じた」と精神的に大きなダメージを受けている様子だった。

だが、大会全体を振り返ると「出たら自信はあります。もっとこうやりたいとかそういうのは感じていました」と、気力は湧いてきた。

「しっかり止める。それはGKの醍醐味だし、難しいシュートを止めるとチームもがらりと変わるので、そういうプレーで圧倒的な存在感が持てるようになりたいです。まずはそれをJリーグでやってから」

はたしてこの悔しさがバネになるか、あるいはこのまま東口はしぼんでしまうのか。もうすぐ開幕するJリーグでのパフォーマンスが雄弁に物語るだろう。

【文:森雅史/日本蹴球合同会社、撮影:佐野美樹/PICSPORT】

▼ 権田修一

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 東口順昭、槙野智章、伊東純也、原口元気

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 森保一監督

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)