コンビニや店舗で、電子マネーを使って支払いをすることにも、だいぶ慣れてきた。
そんな人も、増えているだろう。

最近では、駅のコンビニなどに、セルフレジが設置されているところもある。
セルフレジでは、自分で商品のバーコードをかざして読み取らせて、Suicaなどの電子マネーで支払いできるようになっている。

初めて利用するときは少々まごつくが、レジに列ができているときや、買い物が1、2点の際など、セルフレジを利用したほうが早くてスムーズに支払いができる。

しかし今後は、まったく無人の店舗が登場してくるという。

はたして、自分は問題なく買い物をできるのだろうか?


●赤羽駅ホームに無人決済店舗が期間限定でオープン



JR赤羽駅のホームに、期間限定で無人決済店舗がオープンしている。
これはAI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」の実証実験で、2カ月程度の営業を予定しているとのこと。現在、オープンしてから1カ月ほど経つ。

AI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」の仕組みは、
・店内の天井や棚に設置したカメラで客を追跡する
・手に取った商品を認識する
というもの。

商品にICチップが埋め込まれているわけでも、バーコードやQRコードを読み取るわけでもない。

将来的には、このような無人決済が当たり前になるともいわれている。

とりあえず体験してみることにした。


●入店にはICカードをかざす! 
AI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」の店舗は、赤羽駅の5・6番ホーム上にある。
訪れて最初に目に入ったのは壁面の「TICKET TO TOMORROW」の文字だった。

一瞬、緑の窓口的なスペース?
空見したが、回り込んでみると、AI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」店舗だと分かった。


でかでかと「TICKET TO TOMORROW」の文字


入口前にはスタッフがいて、購入方法を丁寧に案内してくれた。
さすがに実証実験なので、完全無人で放置というわけではなかった。

説明を受けた無人決済店舗で買い物をする際の流れは次のとおり。
1.店舗入り口でSuicaなどの交通系ICカードをかざして入店する
2.商品を選ぶ(手に取る)
3.商品を持って決済エリア(床の赤枠内)に進む
4. ディスプレイに商品一覧と金額が表示されるので、確認する
5.ICカードをかざして決済し、出口から出る

店内は、うろうろ商品を見て回るなど、自由に行動できる。
特徴的なのが、入口と出口は別々になっていること。
入口では自動改札のように入るのだが、出口は支払いをするので別になるようだ。
また、店内には3人までしか入れないとのことだが、認識精度を保つため、訪れた際は2人までの入店としているそう。

筆者が訪れたのは平日の午後ということもあり、入店待ちの列はできていないが、店内に買い物客が途切れることはなく、常に客が入っていた。

●いざ入店……その前に、Suicaの残高を必ずチェック
入口でSuicaをかざせば自動ドアが開いて入店できる。

ここで、はたと困った。
Suicaの残高はいくらある?

もし決済時に残高が足りなかったら?
どうなるか?

スタッフに質問してみたところ、
・一部の商品を棚に戻し、残高内に収めて決済する
・すべての商品を棚に戻し、何も買わずに出口から出る
この2通りの選択となるそうだ。

実験段階なので仕方ないが、店内でチャージができないのは少々残念だった。
せめて、入店時にSuicaをかざした際、残高が表示されて、不足ならチャージできると便利だと思った。

店員がいる店なら、Suicaの残高が足りない場合
・現金での支払いに切り替える
・その場でチャージして支払う
などの方法が使えるが、この店舗ではそうはいかない。

●正しく認識されなかったときはどうする?

交通系ICカードをかざして入店する


さて、改札横の精算機で無事にチャージも済ませ、入口でSuicaをかざしてようやく入店した。
なお、今回の店舗では、外からの撮影はOKだが、店内では撮影禁止とのこと。

店内には、チョコやおせんべいなどの菓子類、パン、デザート、飲料などが並んでいる。紀ノ国屋のパンや外国のチョコなど、普通の駅の売店とは少々異なる商品陳烈だ。

少しの間、店内をうろついて、お菓子とパンとペットボトル飲料の3品を手に取り、赤枠で囲まれた決済エリアへ向かった。




ディスプレイを確認すると……あれ? 
パンが含まれていない。

このまま出ると万引きになる?
ドキドキして、どうしたものかとまごついていると、音声でサポートしてもらえた。

自分で購入品目の内容を修正してパンを追加して、問題がなければICカードをかざせば無事に決済を済ませられる。

この場合の修正は、修正と言っても、ディスプレイには購入候補としてパンが表示されていたので、単に追加するだけでOKだった。

今回は、実際に手に取っている商品の認識が1つ足りなくて会計にプラスしたが、手にした商品よりも多く認識されていたときは、もちろんマイナスできるようになっている。

決済を済ませるとレシートが出てゲートが開くので、レシートを持って出口から出る。
以上で購入は完了だ。

手に取った商品の認識が1つされないというアクシデント(?)はあったが、とりあえず、無人店舗で電子決済して商品を買うことができた。




●現時点では、まだイベントに近い?
今回の買い物で正しく認識されなかった食品は「ミニパンダあんぱん」だ。
パンダの絵がくっきりしたものを選ぼうと、棚から出したり、横によけたり、戻したりしたことで、購入商品の認識から外れたのだろうか。
あまり複雑な動きをすると誤認識する可能性が高くなるのかもしれない。

ただしディスプレイには、手に取ったことで、購入候補として表示されていた。
このため、購入品として修正するのは手間取らなかった。

筆者の買い物は、誤認識もあり、ある意味、決してスムーズではなかったが、1、2点の買い物や、棚から出し入れが少なければ、誤認識もなくスムーズに行えたのだろう。

筆者の前に店舗を利用した男性は問題なく購入できていたからだ。
男性は、ペットボトル飲料とチョコの2点を購入。
「小さいチョコは(認識されるか)どうかと思ったけど、大丈夫でした」とのこと。

こうした人の行動による差での誤認識などを確認する意味での実験段階ということのようだ。
現時点では、イベント感覚で体験するといった感じだが、こうした実験を通して、認識精度や問題点を解決して、実用化されていくのだろう。

この無人決済店舗の営業時間は、平日のみで10時〜20時だが、興味がある人は、ぜひ、体験してみるとよいだろう。
その際は、事前にICカードの残高確認もお忘れなく。