日本のスマホ市場で存在感を急速に高めているファーウェイ。定評のあるスマホ技術の横展開で、ノートPC市場にも挑戦しています。同社のノートPC製品の今後の展望について、Wan Biao氏(ファーウェイ・コンシューマ・ビジネスグループ COO)に話を聞きました。

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画面占有率91%の衝撃──HUAWEIのMacBook Pro対抗機「MateBook X Pro」インプレ


──ファーウェイPCの強み、また今後の展望について教えてください

Wan Biao氏:スマホが非常に速いスピードで進化したのに対し、PCはこの数年間たいして進化せず、スマホに比べてやや遅れている感じが否めません。従来のPCは厚みがあったり、外観が洗練されていなかったりするので、スタイリッシュさに関する消費者の要求を満たしていないんです。

弊社がPCに参入する際に、「ハイテク」「イノベーション「ファッション性」の3つを兼ね備えた製品を作りたいと思いました。次の一歩としてはアプリケーションを向上させます。例えばユビキタス社会を実現するために、4G・5Gの技術を搭載します。また、AI機能も搭載します。さらに、今後は端末の複数台持ちが一般化すると思いますが、クラウドを通じた端末間の相互接続を実現します。

──AIについては、具体的に何ができるのでしょうか

Wan Biao氏:例えば弊社のスマホでは、プロセッサにAI処理に特化した「NPU」を組み込みました。そして、このNPUへのアクセスを他社にも解放しています。弊社以外のメーカーがAI機能を使えるようにすることで、いろいろなことができるようになるんです。例えば2018年2月にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル見本市では、ポルシェの中にスマホを置いて、スマホのカメラで物体を認識し、車の進行方向自動的に変えるということを行いました。また、カメラのシーン認識などにもAIを活用しています。


──AI処理に特化したチップは、PCやタブレットにも積極的に搭載するのでしょうか? その場合、ハイエンド限定になるのでしょうか?

Wan Biao氏:ハイエンドにしろローエンドにしろ、徐々にAI機能は搭載されていきます。ただ違いとしては、ハイエンド機にはより強力なAIのプロセッサを、ミドルレンジ機にはコスパの良いAIプロセッサを搭載していきます。


──御社がAIプロセッサとして開発しているKirinシリーズがPCに搭載される可能性もあるのでしょうか

Wan Biao氏:その可能性は否めませんが、近いうちにその計画はありません。KirinシリーズはARMのアーキテクチャなので、アプリケーションの互換性の問題を解消しなければなりません。また、処理能力の課題もあります。



──LTEを搭載したノートPCはいつごろ登場するのでしょうか

Wan Biao氏:MateBookのLTEバージョンについては、製品化を計画しています。ただ、お客様といろいろな交流を重ね、うまくバランスを取る必要があるとは思います。利用シーンもそうですし、LTE機能を搭載するとかなりのコスト増にもなってしまいます。

──マイクロソフトがSurface Goを発売しました。ファーウェイが10インチのコンパクトWindows PCを発売すれば面白いことになるかと思いますが、Surface Go対抗機の予定はありますか?

Wan Biao氏:注目はしています。初代のMateBookがまさにそんな製品でした。ただ、こういった製品には処理能力と稼働時間の問題があるかと思いますので、社内でも検討分析をしていきます。

──ありがとうございました