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昨年夏、富士急ハイランド・コニファーフォレストで行われた“Original Entertainment Paradise -おれパラ- 10th Anniversary 〜ORE!!SUMMER〜”(おれサマー)にサプライズ登場し、鮮烈なステージ・デビューを飾ったbuzz★Vibes。ソロ・アーティストとして、ホットでクールなロックを届け続けてきた森久保祥太郎が“M.K.B”としてボーカルを執り、元SOUL’d OUTのトラックマスター&キーボーディストで、現在は作曲家・アレンジャーとして腕を振るうShinnosukeと結成した新ユニットが、ついにミニ・アルバム『buzz★Parade』をリリースした。これまでの森久保の音楽を知る人には衝撃的。音楽好きをうならせるゴージャスでファンキーなbuzz★Vibesサウンドの秘密を、ふたりにたっぷり語ってもらった。

――“おれサマー”での新ユニットお披露目も衝撃的でしたが、そもそもどういうキッカケでbuzz★Vibesを?

M.K.B 僕は森久保祥太郎ソロとして、ランティスでの活動が10周年を迎え、前から別名義で何かやりたいとプロデューサーに相談していたんですよね。でも、なかなかいいタイミングがなくて……そんなとき、Shinnosukeくんとの出会いがありまして。

Shinnosuke 去年の6月くらいかな? 呼び出されたんですよ(笑)。

M.K.B サウンド・プロデューサーである佐藤純之介さんが、仲人になってくれたんです。もちろん僕はSOUL’d OUTとしての活動も知っていたし、なんならSOUL’d OUTのデビュー当時、僕のラジオ音楽番組にゲストに来てくれたこともあったし……彼は全く覚えてなかったですけど(笑)。

Shinnosuke あはは(苦笑)。

M.K.B で、一緒にお酒を飲みながら、新しい音楽をやりたいんだと話をしたんですね。すると、みんな同年代なので、青春時代の音楽の話で盛り上がるわけですよ。そのうち、buzz★Vibesとしてのイメージが固まっていった。まぁ、最初Shinちゃんは、楽曲提供だけのつもりだったみたいですけどね(笑)。

Shinnosuke 呼び出され方がふわっとした感じだったので、まさか自分がアーティスト活動をさせてもらえるとは、思ってなかったんです。

M.K.B でもその後、早速曲を作ってくれて。それが“おれサマー”で初披露した「Screamin’ 2nite」でした。

――Shinnosukeさんは、以前からブラックミュージックやダンスクラシックに造詣が深く、buzz★Vibesの音楽性もかなりそちらに寄った70〜80年代のソウル、ファンク、ディスコティークを彷彿とさせる黒っぽいサウンドですね。

M.K.B そう。ベースになっているのは、僕らの青春時代の大人の音楽なんです。それを、今大人になった僕らが現在に放ったらどうなるのか?というのが、buzz★Vibesのコンセプト。「Screamin’ 2nite」が突破口となり、「こういうことだよ!」と一気に思い描いていたものが形になりましたね。

Shinnosuke 最初の飲み会でいろんなキーワードが出てきたので、僕のフィルターを通して形にしたんです。ファンクな感じで、いわゆる“アニソン神曲”的なものではない、もっと隙間のある音楽。

M.K.B ちょっとやらしいテンポ感とかね。通好みでありながら、サビに入ると圧倒的なキャッチーさがある。「Screamin’ 2nite」の中に、僕が必要としているものがすべて揃ってました。“おれサマー”への出演も、前々から準備をしてたわけじゃなく、急遽決まったことで。「Screamin’ 2nite」ができたので、取りあえずレコーディングもしてみた……じゃあ、「出ちゃおうか?」と。“おれサマー”の2週間くらい前かな?ライブ本編の構成はもう出来上がってから、休憩時間にゲリラで出るのが面白いね、とプロデューサー陣もいい悪ノリをしてくれて。

Shinnosuke 「今なら間に合うんじゃない?」と、みんなが言い出してましたね。

M.K.B ただ、僕としてはけっこう不安があったんです。ふだんの僕の音楽とはあまりにも違うので、実はすごく怖かった。「今の何だったの?」で終わっちゃったらどうしようと。ライブ前にはめったに緊張しないんですけど、あの日ばかりは……ね。結果、生まれて初めて聴く曲なのにみんながノってくれて、「buzz★Vibes、イケる!」という手応えもあり、ホッとしました。

――Shinnosukeさんがステージで弾かれていたのは、80年代後半に一世を風靡したショルダーキーボードの名機、YAMAHAのKX5でしたね。

Shinnosuke おっ、そういう話、お好きですか?(笑)

――デフォルトカラーは黒とシルバーだったと思いますが、ブルー?パープル?の色でしたね。

ShinnosukeShinnosuke はい、色はカスタマイズしてます。

M.K.B ……というような話で、最初の飲み会も盛り上がってたんですよ(笑)。

Shinnosuke 機材オタクが揃っちゃって(笑)。

M.K.B  なので、楽器視点からできている曲もたくさんありますね。

Shinnosuke 70年代、80年代当時のリズムマシンの音を使いたい!だからこんな曲やろう、とか。

――リスペクト&オマージュですね。そもそもShinnosukeさんのルーツは、どういった音楽ですか?

Shinnosuke 世代的に邦楽で一番影響を受けたのは、小室哲哉さんから浅倉大介さんに繋がる、いわゆるTKサウンドですかね。洋楽だと、プリンスやジャネット・ジャクソンなどのミネアポリス・ファンクが、一番影響が強い。さらにいうと、SOUL’d OUTのデビュー前、僕はジェームス・ブラウンやテンプテーションズが来日すると遊びに来るようなクラシックソウル系ディスコでアルバイトをしていたんです。リアルタイムではない往年のファンクやディスコミュージックは、そこで身体に染みつきました。

M.K.B  buzz★Vibesには、そういう音楽性がまんべんなく詰め込まれているので、上の世代に「お、懐かしいな」と言ってもらえたらうれしい、という気持ちもあります。

――だからなんですね。『buzz★Parade』が、70年代前半のフィリー・ソウル(フィラデルフィア・ソウル)色を強く醸し出していたのに、ちょっと驚いたんですよ。おふたりよりもひと回り以上、上の世代の音楽だぞと(笑)。

ShinnosukeShinnosuke ああ!

M.K.BM.K.B フィリー・ソウルなんてワードを、先に出してもらえるのはうれしいですね。ニヤッとしちゃうな(笑)。まさに「buzz★Parade」のMVも、当時、その手の音楽を流行らせた音楽番組『ソウルトレイン』へのオマージュですからね。

――そう、MVを観て腑に落ちました。M.K.Bさんも、フィリー・ソウル的なものはお好きで?

M.K.B そうですね、どっぷりではないですけど、広く浅くは聴いていましたね。往年のソウルもそうですし、Shinちゃんと話していてフックになったアーティストはプリンスだったし。

Shinnosuke プリンスも祥ちゃん同様に、ロックでファンクですからね。「Screamin’ 2nite」のイントロのドラムマシンも、プリンスと同じLinnDrum(リンドラム)を使ってるんですよ。

――――当時、150万円を超えるLinnDrumが最高峰で、それを買えないバンドはローランドのTR-808で我慢する、みたいな(笑)。

Shinnosuke そうなんですよねぇ。

M.K.B あれ?これ……『サウンド&レコーディング』の取材じゃないですよね?

一同 (爆笑)

――――buzz★Vibesは、トラックをShinnosukeさんが制作、M.K.Bさんが歌詞を書くスタイルですが、森久保祥太郎としての作詞とM.K.Bさんとしての作詞で、アプローチに違いはありますか?

M.K.B それは明確にありますね。メッセージを発したい根っこから違うんです。分かりやすく言うと、ソロとしての歌詞は、僕のごく個人的な価値観を世の中に出した時に、賛も否も判断してちょうだいという……挑戦的なもの。でもbuzz★Vibesはエンターテインメントをやりたいので、歌詞もマイノリティではなくマジョリティでありたい。書き方も……これは、Shinちゃんが楽曲提供しているMs.OOJAさんのライナーノーツにもあったんだけど、“Shinnosukeあるある”というのがありまして。

――なんですか?それは(笑)。

M.K.B 曲が上がってくるときに、Shinちゃんが雰囲気英語で仮歌を入れてくるんですけど、中には、このメロディには絶対この言葉しかないだろ!というハマりがあるんですよ。「buzz★Parade」のサビ頭の「♪エブリバディ」とか。作詞担当としては悔しさもあるんですけど、あまりにいいので、その言葉をいかしたテーマを設けて書くようになりました。3曲目の「FAKE?」も、仮歌の「FAKE」というワードをフリートークのお題にして、ワントーク考えていった感じ。「U R my LOVER」も、仮歌のワードをなるべく残して、ストーリーを繋げていくとか。buzz★Vibesは音も遊んでいるんで、作詞にも新しい遊びを見つけた感じですね。

――M.K.Bさんの歌詞を、Shinnosukeさんはどう感じてます?

Shinnosuke お世辞抜きで、素晴らしいですよ。例えば「Screamin’ 2nite」の「♪新感覚の」とか「♪一切合切どうだい?」とか、響きがすごく突き刺さるじゃないですか。サビならではの刺さる音、生きている言葉の選び方がすごい。

――「U R my LOVER」の「♪鈍痛降臨」も驚きました。

Shinnosuke そう!普通ないですよね、この発想。

M.K.B これを書いたときはレコーディングがかなり佳境。次は「U R my LOVER」の歌を録るから歌詞をよろしくと言われたものの、じつはノープランで(笑)。さっき話したように、この曲は仮歌のワードからストーリーを考えていきたかったんですが、そもそも僕はフィクションを書くのが得意じゃない。悩んでいたら……ハッと浮かんだんです。頭がパンパンで、キミに送りたいベストなメッセージが見つからない、という俺の心境を歌にしようと。歌詞を書こうとファミレスにこもってたら、だんだん腰が痛くなってきて……「♪Don’t U worry 鈍痛降臨」だと(笑)。

Shinnosuke あははは(笑)。

M.K.B すごい美メロにギャップのある言葉がハマるのも、buzz★Vibesらしさじゃないかなと。森久保祥太郎の曲では、ストーリーや世界観をはっきり見せない書き方をしているので、いい挑戦ができました。

――先ほどから話題になっている、音の遊びも見逃せない。「buzz★Parade」を聴いて、アース・ウィンド&ファイアー(EW&F)を聴き直しちゃいました。「U R my LOVER」のギターのカッティングには、ナイル・ロジャースっぽさを色濃く感じますし。

M.K.B ああ! シックですよね。

Shinnosuke ナイルぽくやりたかったんですよ(笑)。本物のナイルは、もっと低音が出て太いですけど。

M.K.B ……という会話に、その時代を知らない若い人たちが「どういうこと?」と昔の音楽を振り返り、なんならEW&Fに遡ってくれてもうれしい。「Buzzin’ [Re:CHAIN REACTION]」なんかも、もともとソロの曲だったものを、RUN DMCの「ウォーク・ディス・ウェイ」よろしく、Shinちゃんがうまくアレンジしてくれて、まったく違う曲になってますし。

――70年代からヒップホップカルチャーまでを網羅しつつのサウンドメイクになってますね。ブラックミュージックの歴史の一面を垣間見ることができる。

M.K.B だから、buzz★Vibesは底が知れない感じがする。『buzz★Parade』もマスタリングが終わったものを聴くと、6曲しか入っていないんですけど、聴き応えはフル・アルバムくらいの緊張感があるし。

Shinnosuke 80年代の洋楽アルバムって、どれも濃厚でしたからね。コンセプト・アルバムも多かったし、やっぱりそういうのが好きなんですよね。

M.K.B バックトラックにもこだわりを詰めすぎているから、インスト版(『buzz★Parade (INSTRUMENTAL)』)もハイレゾで配信しちゃいますしね(笑)。Shinちゃんがつけてくれているコーラスも、全曲トラック数がものすごく多いんです。この人、僕なんかより遙かにボーカルレンジが広いんですよ。女性キーくらい軽々と出しますからね。

Shinnosuke 歌はヘタなんですけどね。プリンスが好きだから、高いコーラス入れたくなる(笑)。「BRAND NEW UNIVERSE」の“コーラスの壁”は、ぜひ聴いて欲しいかな。ふたりとも好きな曲なので。さらにこの曲は、FENCE OF DEFENSEの北島健二(G)さん、西村麻聡(B)さん、山田わたる(Dr)さんが参加してくれているんですよ。ロサンゼルスでレコーディングしたトラックを送ってくださいました。

――ロックキッズ憧れのビッグネームじゃないですか!

Shinnosuke FENCE OF DEFENSEがちょうどアルバム制作でロスに行ってて。日本人のレコーディングエンジニアさんも、グラミー賞を獲ったすごい方だったりするんです。

M.K.B 新人ユニットのくせに、なにげにえらいことになってる。リスアニ!さんをチェックしている若いアニソン・ファンにどれだけ刺さるか分からないんですけど(苦笑)。スタッフも含めて、いろんな人のいろんな遊びが詰まってます。でもねぇ……ボーカル録りは、想像以上に苦労した!

Shinnosuke してたねぇ。

M.K.B まず、歌詞のアプローチがそもそも違うから。buzz★Vibesとしての表現のイメージはあっても、そこに辿り着くまでが大変で。レコーディング中は、Shinちゃんに稽古つけてもらっているような感じでしたよ。

Shinnosuke そうね。そもそもロックの8ビートと、buzz★Vibesがやろうとしているファンク、ソウルの16ビートは、全然別物ですからね。セクションごとは歌えても、1曲を通して歌おうとすると、彼の中のイメージと1ミリ、2ミリの誤差がどうしても出てくる。僕もbuzz★Vibesとしての正解は手探りだから、2人で探り探り作ったアルバムだよね。

M.K.B そうそう。歌ってて、急に声量が変わるときがあるじゃない?

Shinnosuke うん、あるね。「分かった!」というときね。

M.K.B あれ、急に降りてくるんだよね、表現が。その「分かった、分かった」が分かるまでが、時間がかかったなぁ。1枚作り終えて、やっと「buzz★Vibesってこういうことか!」が、はっきりした気がするな。

――黒っぽいサウンドは、これからもめざしていくところですか?

M.K.B うん、おそらくそうなっていくのかなとは思うけど……裏切るかもしれないし(笑)。“遊び”が大きなキーワードであることはたしかなので、とにかく楽しくやりたいですね。

Interview&Text By 阿部美香

●リリース情報

『buzz★Parade』(CD+DVD)

3月28日発売



品番:LACA-15698

価格:¥2,600+税

<CD>

1.buzz★Parade

作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

2.Screamin’ 2nite

作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

3.FAKE?

作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

4.Buzzin’ [Re:CHAIN REACTION]

作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

5.U R my LOVER

作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

6.BRAND NEW UNIVERSE

作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

<DVD>

1. buzz★Parade (Music Clip)

2. Screamin’ 2nite (Original Entertainment Paradise -おれパラ- 10th Anniversary 〜ORE!!SUMMER〜映像)

●ライブ情報

buzz★Vibes「buzz★Parade」Release Party

5月19日(土)会場:HUMVEE HALL

※チケットなど詳細は後日発表

「森久保祥太郎 LIVE TOUR 2018 心・裸・晩・唱 〜PHASE7〜」

9月22(土)、23(日) 郡山CLUB #9

22日 開場17:15 / 開演18:00/23日 開場16:15 / 開演17:00

(問)GIP 022-222-9999(24時間自動音声案内)

9月29日(土) 名古屋ボトムライン

開場17:00 / 開演18:00

(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(10:00〜18:00)

9月30日(日) umeda TRAD

開場16:15 / 開演17:00

(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400(平日12:00〜18:00)

10月7日(日) BEAT STATION

開場16:15 / 開演17:00

(問)BEA 092-712-4221(平日11:00-18:00)

10月21日(日) 豊洲PIT

開場16:00 / 開演17:00

(問)ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999(平日12:00〜18:00)

全席自由 ¥6,800(税込)

※3歳以上有料 ※整理番号付 ※ドリンク代別 ※車椅子エリアは会場の都合により見えづらい場合がございます。予めご了承ください。

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