地方から東京に出てきた人の中には、実際に上京して、一度行ってみたかった観光地に立って、「あれっ?」と思うこともあるらしい。期待が大きすぎたせいかもしれない。テレビや映画の画面を通して想像していたのとはどうも違う。東京に限った話ではないだろうが、テレビや雑誌ではあんなに魅力的だったスポットが、現実はいささか残念だった、という体験、あなたはあるだろうか?

そこで、東京の有名観光地、行って「ガッカリ」だったのは?という質問で、Jタウン研究所は都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数663票、2015年10月16日〜2016年2月15日)。

はたして、その結果は――。

世界中の人々を感動させた〇〇だけど...

東京の有名観光地、行って「ガッカリ」だったのは?という、問いかけに対しての結果が、下のリストだ。


東京ガッカリ名所 ランキング

第1位は渋谷ハチ公像、30.6%だった。「ハチ公」はあくまでも待ち合わせ場所で、観光地というカテゴリーに入れるべきではない、という意見もあるかもしれない。多くの人が待ち合わせをしている中で、ハチ公はあまりにも目立たない。その向かいにあるスクランブル交差点に比べても、なんとも地味な存在だ。

渋谷ハチ公像(ayu oshimiさん撮影,Flickrより)

ハチ公にはこんなエピソードがあるのをご存じだろうか。ハチ公の飼い主は、東京帝国大学農科大学校教授の上野栄三郎博士。上野博士は1925年、大学で講義中に脳溢血で倒れて亡くなった。ハチ公はその後約10年、帰らぬ上野博士を渋谷駅で待ち続けたのだ。

やがて渋谷駅のハチ公は人に知られるようになり、1934年、「忠犬ハチ公」として銅像となった。この初代ハチ公像は戦時の金属供出のため撤去されたが、1948年、2代目のハチ公像が造られた。これが現在のハチ公だ。

ハチ公のエピソードは多くの人の共感を呼び、1987年には『ハチ公物語』として映画化されている。飼い主夫婦を仲代達也、八千草薫が演じた。また2009年にはリメイク作品『HACHI』がハリウッドで製作され、リチャード・ギアが主演を務めている。ハチは世界中の人々に感動を届けたのである。

例えば、こんな予備知識をインプットしてから、改めてハチ公像を見ると、印象はまた違ってくるかもしれない。なおハチが生まれたのは、秋田県大館市。生粋の秋田犬である。大館市にも「ハチ公像」があるという。

近ごろサッパリの、アレとアレ...

一方、第2位は六本木ヒルズ、11.5%である。六本木ヒルズは港区六本木6丁目にある複合施設。中心となる森タワーは54階建ての高層ビルだ。2003年開業なので、もう10年以上も前のことになる。大阪に「あべのハルカス」(60階建て)が開業したこともあり、最近ではあまり注目されなくなってきた。ガッカリの原因かもしれない。


六本木ヒルズ森タワー(Lombrosoさん撮影, Wikimedia Commonsより)

第3位はお台場、11%だ。お台場は東京臨海副都心地区にあり、フジテレビやデックス東京ビーチ、ダイバーシティ東京、パレットタウン、大江戸温泉物語など、若者に人気の施設が集まるエリアだ。ただ開発途上の地域のため、ややまとまりに欠ける面もないではない。交通手段も少なく、現状ではエリア内の移動に苦労する。2020年の東京オリンピックに向けて、お台場エリアの開発・変貌が楽しみである。

第4位は秋葉原電気街、8.4%である。千代田区秋葉原駅周辺に広がる電気街だが、近年はAKB48劇場やメイドカフェの方が有名になってしまった。ゲームショップ、ホビーショップ、アニメショップなど、サブカルチャーの街として発展・変貌し続けている。ある意味、いま東京でもっとも活気のある街かもしれない。中国人による究極の「爆買い」スポットでもある。ただしあまりの混沌・混乱のため、入り込めない人も少なくないだろう。

秋葉原(Fredrik Rubenssonさん撮影,Flickrより)

第5位は東京スカイツリー、8.3%である。墨田区押上一丁目にある、高さ634メートルの電波塔だ。2012年の開業当時は大変な評判で、人気も高かったが、最近はそうでもなさそうだ。あまりにも長い行列ができたため、待ち時間がちょっと......、という噂を聞いたこともある。あきられるのはまだ早いと思うのだが、ガッカリの順位は5位だった。

以上がワースト5で、全体の3分の2強を占める。番外に「その他」が10.1%もある。ガッカリしたものがそれだけ多いということだろうか。


東京スカイツリーから見たダイヤモンド富士(江戸村のとくぞうさん撮影, Wikimedia Commonsより)