高校野球の名門・仙台育英高の硬式野球部員7人が東日本大震災で被災し休業しているリサイクルショップに侵入したとし、書類送検されたことがわかった。高校側は部活が終わった後に「探検心が湧いた」ための過ちだったとしているが、「生徒は欲しい物があったらとろうと思ったと供述している」と報じる新聞もある。

   この報道が出ると高校には「震災を受けた地域の生徒に相応しくない行動」、「野球部を廃部にしろ!」などといった抗議が相次いだ。同野球部が夏季大会に出場できるかどうか、6月22日に開かれる日本高野連の小委員会で審議される。

テレビゲームなど若者向けのショップ

   事件が起こったのは2011年4月7日の午後8時過ぎ。高校の説明によれば、7人は部活の帰りに多賀城市内にあるリサイクルショップ「万代」の敷地内に自転車で入った。「万代」はテレビゲームやDVD、本や貴金属といった若者向けのショップだが震災のため営業中止。1階部分は津波で浸水し、入り口や窓ガラスは壊れていた。生徒達に「火事場泥棒」しようという意識は全くなく、冒険心や探検心でショップの中を散策していた、という。

   この付近は電気店やスーパーなどが集まっていて、「火事場泥棒」が出ると噂になっていた。そのため、警察は警備を強化。この日は自転車7台が並んでいるのを発見しショップの中に入ったところ7人の高校生を見つけた。

   生徒達の事情聴取は親が呼ばれ5月19日を含め2度行われた。親が行けなかった生徒は野球部監督が身元引受人になった。そして警察は6月14日に建造物侵入の疑いで7人を書類送検。書類送検したことは高校には知らされず、16日に地元の河北新報からの取材で知ることになったという。高校はその日に宮城県高野連に報告。宮城県高野連は日本高野連に報告し、同校の処分の判断を仰いでいる。

部活動停止、被災地で1週間ボランティア活動

   高校は7人に対し1週間の自宅謹慎処分にし、7人を除いた55人の野球部員の部活動を1週間停止。55人は被災地のボランティアに登録させ食事の配給や瓦礫の処理などの仕事に就かせた。

   読売新聞などは生徒が「欲しい物があったらとろうと思ったと供述している」と報じている。しかし高校は「火事場泥棒」のような行為を考えたことは全くなく、警察からも

「補導したときに手に商品は握られていなかった」

と証言をもらっている、という。生徒から話を聞いたが、このようなことは話していない、といっているという。

   同高は春夏の甲子園大会に31回出場している名門。今年の夏の大会も甲子園出場の最有力候補だが、今回の不祥事で出場できるかどうか。日本高野連に話を聞いてみると、

「22日に小委員会が開かれますが、仙台育英高校についてはそこで話し合われる議案の一つになっています」

ということだった。

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