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人気ゲーム「フォートナイト」のApp Store削除をめぐるEpic Gamesとアップルが法廷闘争を繰り広げていますが、2回目の審理がZoom経由で行われ、判事がEpicの主張(直接支払いオプションを残したままのApp Store復帰)を支持しそうにない様子が伝えられています。

事件を担当するイヴォンヌ・ゴンザレス・ロジャース判事による主要なコメントは、まずEpic側の「アップルはApp Storeを独占しており、過剰な手数料を請求している」との主張に関するもの。アップルが徴収する30%の手数料率はPlayStation、Xbox、任天堂、Amazon、ウォルマート、Googleなどゲーム一般で徴収されている 「業界レート」であると指摘しています。

これに対してEpicは、ゲーム専用機のハードウェアは赤字で(コスト割れの低価格で)販売されているため「事情が違う」と反論しましたが、判事は「あなたが言っていることを裏付ける証拠があるようには見えません」と否定的な見解を示しています。

またEpicが明らかな契約関係にあるにもかかわらず、App Storeガイドラインをわざと回避したEpicの決定につき「不作為による(契約違反の直接支払いオプション追加を申告しなかった)ウソをついた」と批判。そして多くの人々がEpicを英雄だと思っているかもしれないとしつつ「a rose by any other name is still a rose(他のどんな名前で呼んでもバラ)」と古典『ロミオとジュリエット』のセリフを引用し、Epicが不正直だった事実は変わらないと述べています。

またEpicがApp Storeがウォールド・ガーデン(もともと「壁に囲まれた庭園」。転じてクローズドなプラットフォームのこと)だと呼んだことには、そうしたプラットフォームは約40年間も存在しており、アップルのやっていることは先駆者(任天堂やソニーなど)とそれほど変わらないとコメント。何より「彼らがプラットフォームを作った」として、アップル寄りの姿勢を見せています。

ロジャース判事は再びEpicがアップルに収める30%手数料をエスクローアカウント(中立的な第三者への預託)に置き、フォートナイトをApp Storeガイドラインに沿った仕様で復帰させることを提案しています。アップル側の弁護士はそれで多くの問題が解決できると述べていますが、Epic側は「独占主義者による違法な条項を助けるべきではない」として準拠させる意図はないもようです。

判事はアップルとEpicに陪審制による裁判を推奨していますが、それには両社が自ら要請する必要があります。いずれにせよ次回の審理は2021年7月に開かれる見通しであり、それまでに法廷の外で何らかの動きがあるのかもしれません。

Source:MacRumors,AppleInsider,CNET