肘を伸ばして荷物を持ち上げようとすると痛みが走る…そんな経験はないだろうか。そういった痛みがあるとすればそれは、いわゆる「テニス肘」の疑いが強い。「テニス肘」とは、上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)という。

まったくテニスはやらない筆者だが、今年4月からこの症状に悩まされ、病院に行ったところ案の定「テニス肘」と診断された。
実は、この「テニス肘」、どうやらパソコンを長時間使ってもなることがあるのだ。
キーボードを打つ、マウスを動かす…これらの動作は、手首や肘に負担をかけている。昨今、テニスをまったくやらないビジネスパーソンでテニス肘になる人が多いと言われている。

テニス肘は、炎症が起きている箇所を使わない(安静にする)ことが一番の対策だ。
とはいってもビジネスパーソンがパソコンを使わないわけにはいかない。

そこで、手首や肘への負担を軽減するグッズを利用してみてはいかがだろうか。
実際に筆者が対策のために手に入れたグッズを紹介しよう。

●マウスレスト
プレゼン資料作成やWebでの情報収集などにマウスは欠かせない。しかし、平らなところでマウスを操作すると、どうしても手首が反った状態になってしまう。テニス肘や腱鞘炎は、この手首の角度がよろしくないらしい。
マウスレストを利用することによって、手首への負担が軽減されるのだ。
マウスレストは形や大きさ、素材もさまざまな製品がある。
筆者が利用しているものは肌触りが良く、適度な弾力があってなかなか快適だ。




●キーボードレスト
こちらもマウスレストと同様、手首への負担を軽減するグッズ。
キーボードレストを選ぶときの重要なポイントは、素材と高さだ。




筆者が利用しているのは低反発ウレタンを使った製品だ。
高さ7cmのもので、腕の重みでゆっくり沈み込み、フィットしてくれる。肌触りもさらっとしていて、汗ばむ夏でも問題ない。

購入する際は、高さのチェックなどをしておこう。
タオルを巻くなどしてキーボードレストと似たような形状を作り、フィットする高さを確認しておくとよいだろう。また、テンキー付きキーボードなのかテンキーレスなのか、長さもチェックしておくとよい。
ちなみに、筆者はフルキーボードの長さのものを購入したが、キーボードより少し左側にずらして使っている。ずらすことによって、ホームポジションを取ったときに左側の腕がレストからはみ出すことなく快適に使えている。

キーボードによってはスタンド付きの製品がある。奥側のスタンドを立てることでキーボードの角度を調節できるようになっている。しかし、スタンドを利用すると、手首が反ってしまうので注意が必要だ。
筆者も、今まではスタンドを立てて使っていたが、キーボードレスト導入にあわせてスタンドの利用をやめた。最初は違和感があったが、今はすっかり慣れて、手の負担も減っている。

●デスクトップシェルフ
デスクトップシェルフとは、液晶モニターを置く台のこと。
実は、モニターの高さは、かなり手や肘の健康にも重要らしい。
目線は、モニターの上端と同じか少し下ぐらいがよいと言われている。モニターの位置が高すぎても低すぎても目や首、肩などに負担がかかるのだ。
筆者の場合はモニター位置が目線よりだいぶ下だったので、台を導入してちょうど同じ高さに改善できた。




デスクトップシェルフを選ぶときのポイントは、やはり「高さ」だ。
商品によっては、アジャスターが付いていて、高さを2段階で調節できるものもある。
筆者が購入した商品は高さ8cm、アジャスターを利用して10cmにして使っている。また、フロントにはUSBポートも付いていて、充電などに重宝している。さらに、台の下にスペースができたことによって、書類などを置くスペースが増えたこともうれしい。

余談だが、キーボードを置く位置も重要だ。
モニターとキーボードのセンターを揃えて使う人が多いと思う。しかし、この使い方だと、ホームポジションに指を置いたとき、体が左に寄ってしまうのだ。
キーボードの「G」と「H」の間を、モニターの中心に合わせると自然な姿勢で利用することができる。

筆者のテニス肘は、これらのグッズを導入したことで、症状はかなり軽減された気がする。
特に効果が高いのがキーボードレストだった。
手や肘の負担が減ったことで、以前よりなめらかに、スピーディーに打てるようにもなった。

手首や肘の痛みに悩んでいる人、手や肘、肩に違和感がある人は、ぜひこれらのグッズを検討してみてはいかがだろうか。


内藤由美