上海の主要紙のひとつ「新聞晨報」によると、岳陽医院(病院)薬剤科副主任の年華薬剤師は、日本を訪れる中国人が日本製の薬を大量に買う現象について「中国産の薬よりもよく効くのは確か」、「製薬戯技術が高いからだ」などと述べた。

 記者は、日本製の薬の成分表示を見て、中医薬(漢方薬)に使われる薬剤が使われていることに気づいた。そこで年薬剤師に「遠隔の異国まで出かけて、日本の薬を買う必要があるのか」と尋ねた。

 年薬剤師は「日本の薬には中医薬を変化させたものがある。中国産の薬よりもよく効くのは確かだ」と述べた。

 年薬剤師は、日本は「金匱要略」や「傷寒論」など中国医薬学の古典を導入し「よく研究した」と指摘。日本は生薬の原材料の多くを中国から輸入しているが、製薬にあたっては「西洋薬の技術を利用し、欧米の検査方法を参考にした」、「中医薬の効果はかなりの程度、薬剤中の有効成分の多さと雑成分の含有量で決まる。日本製の薬は基準が高く、有効成分の濃度が高く、雑成分は少ない。これが中国産の薬よりよく効く理由だと考えられる」と説明した。

 年薬剤師は、「中国産と比べて日本の薬はやや高価だ」と指摘した上で、「出費を惜しまない旅行者にとって、日本の薬を争って買うことは、道理がないというわけではない」と述べた。」

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◆解説◆
 日本では中国起源の医学/医療術が「漢方」と呼ばれてきた。江戸時代に新たに伝わった「オランダ医学」を「蘭方(らんぽう)」と称したことから、中国起源の医学体系を「漢方」と呼ぶようになった。

 中国では自国(漢族)伝統の医学体系を「中医」、「中医学」などと呼んでいる。「漢方医学」と「中医学」は同一ではなく、日本では「応用重視」、中国は「理論重視」の傾向があるとされる。日本では、鍼灸などを含めて、「漢方」を「東洋医学」と呼ぶ場合がある。ただし、「東洋医学」にはインド医学であるアーユル・ベーダなどを含める場合があるなど、定義は、必ずしも確定していない。

 中国(中国語圏)でもそれほど多くはないが、自国伝統の医学を「漢方」と呼ぶ場合がある。例えば広東省には「広州白雲山漢方現代薬業有限公司」という伝統医学理論に基づく大手製薬会社がある。(編集担当:如月隼人)(写真は、多くの中国人が日本で薬を大量に買っていることを伝える、中国メディア「和訊」の5日付記事)