もっとも、霜田技術委員長も困っているだろうね。なにせ、新監督にアギーレを任命したのは自分ではなく、原専務理事なんだから。前任者がワールドカップ惨敗の責任を取らず、新しい監督を連れて来て、「あとはよろしく」とばかり押し付けた。それなのに、アギーレ体制がコケたら、責任を取るのは自分なんだから、同情もしてしまう。
 
「11月シリーズの結果いかんで」なんて言わないで、普段からアギーレ監督ともっとコミュニケーションを取り、ノルマを設定し、強気にコントロールしていかないとダメだ。
 11月8日にナビスコカップ決勝が行なわれ、ガンバがサンフレッチェに3-2で勝利して、ナビスコカップでは07年以来、J1の3大タイトルとしては10年元旦の天皇杯以来のタイトルを獲得した。
 
 結果はリーグ戦での両チームの勢いを反映したものになったね。
 
 寿人のゴールでサンフレッチェが2点を先制したけど、ひっくり返されてしまった。エースが2ゴールを奪っても勝てないというのは、チーム力が低下している証。特に目についたのが、パスミスの多さ。後方からボールをつないで攻撃を組み立てようにも、ハーフウェーライン付近でことごとく相手に渡して、せっかく掌握していた流れをみすみす手放してしまった。
 
 逆に、ガンバは2点を奪われても焦ることなく、落ち着いていたように見えた。三冠の可能性を残していたことがモチベーションにも、自信にもなっているんじゃないかな。
 
 2-0というのは、サッカーにおいて危険なリードと言うけど、まさにその典型のようなゲームになった。前半のうちにパトリックのゴールでガンバが1点を返したことで、流れが一気にガンバへと傾いた。後半開始早々にもパトリックが2点目を決め、逆転への流れが一気に加速した。その流れを押し返すだけの力は今のサンフレッチェにはなかったね。
 
 今のガンバは以前のような華麗なパスサッカーという感じじゃないけど、当時弱点だった守備の脆さが改善され、堅実に勝てるチームになってきたという印象だ。
 
 宇佐美とパトリックの前線や遠藤と今野のボランチコンビに目が奪われがちだけど、阿部、大森、米倉ら新しい選手たちがチームにフィットし、安定したプレーを見せている。ディフェンス面を整備し、新しいメンバーを積極的に起用してきた長谷川監督の功績だと言えるだろうね。
 
 残念だったのは、国立競技場で行なわれたこれまでの決勝は、ほぼ満員だったのに、埼玉スタジアムで開催された今回は3万人台の集客に留まったことだ。これは、アクセスのいい国立だから見に行っていたサッカーファンの足が遠のいたことを意味しているんじゃないかな。
 
 それならいっそのこと、決勝もホーム&アウェーにすればいい。特に今回、大阪と広島のチームの対戦だったから、余計にそう感じたよ。
 
 また、ナビスコカップの価値を上げるためにも、改めて優勝チームにACLの出場権を与えることも検討すべき。より良い大会にしていくために、まだまだ改革していく余地があるはずだよ。