政府の成長戦略の中で、企業の収益力向上を通じて国民を潤すため、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の強化が掲げられたことを受けて、金融庁と東証が企業統治の指針作りを8月から開始しました。

成長戦略では、ROE(自己資本利益率)を世界水準に高めることが、企業統治強化の一つの目安とされています。ROEは企業が資本を効率的に使っているかどうかを表す指標で、数値が高いほど収益力が高いことを意味します。足元で日本株式(日経平均株価)のROEは約8%と、米国(NYダウ工業株30種)の約19%に比べて見劣りし、海外投資家にとって日本株式の魅力が十分でない理由の一つとされています。このため政府は、機関投資家に議決権行使などを通じて、投資先企業の経営改善に向けた関与を促すスチュワードシップ・コードの策定や、経営のモニタリング体制強化のため、社外取締役の選任を促す法改正などによって、企業が既に高水準にある余剰資金をさらに積み上げるのではなく、投資などへ積極的に活用し、収益性向上に取り組むよう促しています。

また、昨年以降の日本銀行による大胆な金融政策などにより、日本経済はデフレからインフレへの転換期を迎えつつあります。インフレが進むと貨幣価値が下がり、企業が余剰資金を積み上げる合理性は低下することから、余剰資金を活用した投資やM&A、株主還元(増配や自社株買い)などの増加が見込まれます。

日本株式のROEと株価の推移をみると概ね似た動きになっていることに加え、ROEとPBR(株価純資産倍率)の関係をみると、ROEが高いほどPBRが高い傾向にあることから、ROEの向上が株価の上昇につながるものと考えられます。将来のリスクに備えて余剰資金を積み上げる傾向にあった日本企業が、政府の取り組みやインフレなどに後押しされて、余剰資金を積極的に活用していくならば、ROEの改善を通じた株価の上昇が期待されます。

(※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。)

(2014年8月19日 日興アセットマネジメント作成)

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(日興アセットマネジメント)