[画像] ガラパゴス解消へ!日本の通信開国の先駆けとなる「海外スマホの日本利用の合法化」

長年、ガラパゴスなどと揶揄されてきた日本の通信が、今、少しずつ変わろうとしている。総務省は電波法を改正し、訪日客が持ち込む海外スマホの合法利用を2015年から認めるという。

現在の電波法では、訪日客の持ち込む海外スマホが海外SIMカード利用では合法、国内SIMカード利用では違法となる。海外からの訪日客にとっては、日本は通信の鎖国のような状態だったとも言える。だが今回の電波法改正で、今後は訪日客が安心して自分のスマホを日本でも利用できるようになる。

昨年から関西国際空港にプリペイドSIMカードの自動販売機が設置されたり、SIMフリーの義務化を大手キャリアに指導したりするなど、総務省の日本の通信環境の開国対策は、活発化してきている。


混雑する台湾の台北桃園空港携帯キャリアカウンター。渡航先に到着したら空港で現地プリペイドSIMを買って自分のスマホに装着。海外ではよく見られる光景だ


だが、依然として日本では、日本の技術適合認証(技適)を受けていないスマホの日本のSIMでの利用は違法になることは変わっていない。現時点で海外販売されているスマホが技適を取得しているケースは皆無に等しく、事実上、スマホや国内の通信サービスが鎖国である状態が続いている。

●ガラパゴスから世界共通に、スマホが通信開国を促す
2001年以前の日本の携帯電話は、日本独自の通信方式を採用していた。そのため日本で使う携帯電話は日本の技術方式に適したもののみが許可されていた。

だがスマホ時代となり、ドコモなど各通信キャリアが海外と互換性のある通信方式に切り替えていった結果、今や日本で売られているスマホの大半が海外メーカー製のものとなっている。それらの中には日本と海外でほぼ同じ製品が販売されているケースも多い。

ところが海外で販売されているスマホは日本の技適を受けることは無く、同じ製品なのに海外製品は日本では利用できないのである。

●鎖国ならでは時代遅れの不自由さと矛盾
海外からの訪日客が海外持ち込みスマホで合法的に利用するには、海外のSIMカードを入れてローミングで日本の通信を利用するしかないのが現状だ。

一方、海外スマホに日本のドコモなどのキャリアやMVNOキャリアなどのSIMカードを入れて通信すると電波法違反となる。

同じスマホ、同じ電波を使いながらも技適の有無だけで「合法」「違法」になってしまうのは、日本独自の通信方式を採用していた時代の負の遺産といってもよいだろう。

●日本の通信の夜明けは近い?開国間近
さて2015年からは、訪日客が海外から持ち込んだスマホも日本で自由に利用できるようになる。それに合わせて訪日客向けのSIMカードも様々な製品が販売されるようになるだろう。

そして海外スマホの日本での利用は、訪日客だけに留める必要性はいずれ無くなるはずだ。海外来訪客のスマホはすでに日本でも利用されており、それにより日本の携帯ネットワークにトラブルが生じたという事例も無い。日本人が海外スマホを日本で使うこともいずれ合法化されるだろう。そうなれば日本人が海外旅行中に購入した海外スマホを日本に持ち帰って利用することも可能になるだろう。

●世界と同じ、通信とサービスの分離、自由化へ
海外では通信キャリアを通さずにメーカーが自由にスマホを販売している。ブランドとコラボした高級スマホ、カメラが回転するスマホ、ズームレンズが装着されているデジカメスマホ、そして女性専用スマホ、子供向けの低価格なキッズスマホなど、これまで日本では手に入らないようなスマホが海外の家電量販店では販売されている。


韓国では正規販売店がiPhoneを中国人向けにも販売。中国で人気のiPhoneも海外で買ったほうが安いのだ


現在の鎖国のような制限が解消されれば、日本でも消費者が自由にスマホを選んで使えるのだ。また日本メーカーもそれらの製品に対抗した製品の開発や販売が活性化するだろう。

今回の電波法の改正は、「海外からの渡航客のみ」という限定したものだが、日本の通信の開国、ガラパゴスの解消、スマホ市場のグローバル化と活性化という、未来を大きく開く、小さな一歩として期待したい。


山根康宏