違ったのはここからだ。前半のうちに追いつき、後半の２点でベルギーを突き放した。そこから１点差に詰め寄れたものの、３対２で逃げ切ったのである。
それでも、長谷部は冷静なのである。
｢内容も結果も伴ったというのは非常に自信になると思います。あとは、相手が本調子だったかというと、そうじゃないなあというのはやっていても感じましたし。正直、ブラジルとかウルグアイとかのほうが、強さを感じるし。冷静に分析しないといけない、と感じますね｣
キャプテンが気持ちを引き締めたのは、２失点目と無関係であるまい。きっかけは左ＣＫなのである。今後もリスタートの対応が課題となることを、ベルギー戦は突きつけている。
前半序盤の攻防で、ベルギーは本田へ入るボールを徹底して狙ってきた。背番号４を潰すことで日本に攻撃のきっかけを与えず、カウンターを仕掛ける彼らの戦略は、先制点にもつながっている。Ｗ杯で対戦する３か国が、同じ攻略法を持ち出すのは容易に想像できる。ベルギーよりもさらに緻密な包囲網を、しいてくることも。
「ここから先は来年３月まで時間があるし、所属クラブでどれだけ意識を持ってやれるのかが大事になってくる」
マンチェスター・ユナイテッドで出場機会を増やしつつある香川は、ベルギー戦を終えてこう話した。彼自身はクラブでの地位を向上しつつあったが、12月に入ってからは体調不良でピッチを離れている。同じプレミアリーグでプレーする吉田麻也は、依然としてベンチから見つめる日々が続いている。
来年３月のニュージーランド戦に、それぞれの選手はどのような立場でザックのもとに集うのか。代表としての活動がない時期も、Ｗ杯へ向けた準備は進んでいく。上位進出へのロードマップを作り上げるスタッフも。（了）
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