■好調の最たる要因は、中村俊輔の好調
クラブ新記録となる開幕6連勝で開幕ダッシュに成功した横浜FMは、序盤戦を終えて3位の好位置につけている。オフに昨シーズンまでの主力だった小野裕二(→スタンダール・リエジュ)や準主力級の谷口博之(→柏)、狩野健太(→柏)、青山直晃(→甲府)らを放出したことによる戦力ダウンが指摘されていたが、蓋を開けてみればナビスコカップでも準決勝進出を決めるなどリーグを盛り上げる存在として一役買っている。
好調の最たる要因はトップ下・中村の好調だ。技術面もさることながら、コンディション面を挙げないわけにはいかない。昨シーズンは開幕前にインフルエンザを患い、2月上旬の宮崎キャンプに参加できなかった。なんとか開幕に間に合わせたものの、本来のコンディションには程遠かった。
本人は当時について「インフルエンザで体重が落ちてしまって、まずは普通の生活できる体調に戻すのもひと苦労だった。そこからアスリートのコンディションに上げるには時間が足りなかった」と吐露している。
対して、今シーズンは開幕前から順調にトレーニングを消化し、開幕戦の湘南戦では自らの直接FKで号砲を放った。チームは波に乗り、自身はセットプレーで得点をお膳立てするだけでなく、献身的な守備でも貢献。樋口監督は「守備のスイッチを入れる選手として重要な役割を果たしてくれている」と賛辞を惜しまない。ボールを奪いに出るスタイルにおいても中村は欠かせない。
前半戦17試合を終え、中村はリーグ戦全試合に先発出場し、プレータイムはチーム1位の1,526分を記録した。指揮官の揺るがぬ信頼は、そのままチーム好調の原動力と言い換えることができる。
■スターティングメンバーへの信頼の高さ
樋口監督が信頼を寄せているのは中村だけではない。誤解を恐れず言うならば、先発選手への信頼度がとても高い。その証左として交代時間が挙げられる。
これまでの17試合を消化したのだから、監督には最大で51回の交代を行う“権利”がある。そのうち樋口監督が権利を行使したのは42回。ちなみに交代枠3枚を1つも使わない試合はなかった。現行ルールでは3人まで選手交代できる一方で、誰も交代しないという選択肢もあるわけだから、樋口監督の『42』という数字は妥当かもしれない。
ただし『42』の内訳は興味深い。そのうち試合時間が残り10分を切ってからの交代は7割以上となる『30』に上る。さらにロスタイムを含む残り1分での交代は『14』ある。その多くがいわゆる時間稼ぎの交代で、戦術的な意図は薄い。
このデータが指し示しているのは、横浜FMが先発11人に依存傾向にあるという事実だ。序盤戦、いくつかの負傷に悩まされていた齋藤はプレー時間を制限せざるをえず、ベンチスタートから切り札として起用されていた。そのときばかりは樋口監督の動きも幾分早かったものの、齋藤がコンディションを戻して先発にベストメンバーが揃ってからは展開に関係なく戦況を見守る傾向にある。
ベストメンバーの平均年齢が30歳を超えるチームだが、大きな負傷はほとんど発生していない。現在もフィールドプレーヤー全員が全体練習に参加している。ベテラン陣もすこぶる元気で、前出の中村を筆頭にドゥトラ、マルキーニョス、そして中澤といった重鎮たちは自己管理を徹底している。そういった振る舞いは「身近なところを良いお手本がある」と兵藤が話すとおり、中堅以下の選手にも浸透しつつある。
そうすることで選手層の薄さという弱点を覆い隠してきた。確かにアキレス腱はあるが、それが顕在化しなければ不安要素にはならない。少なくとも前半戦の戦いぶりはそうだった。
クラブ新記録となる開幕6連勝で開幕ダッシュに成功した横浜FMは、序盤戦を終えて3位の好位置につけている。オフに昨シーズンまでの主力だった小野裕二(→スタンダール・リエジュ)や準主力級の谷口博之(→柏)、狩野健太(→柏)、青山直晃(→甲府)らを放出したことによる戦力ダウンが指摘されていたが、蓋を開けてみればナビスコカップでも準決勝進出を決めるなどリーグを盛り上げる存在として一役買っている。
好調の最たる要因はトップ下・中村の好調だ。技術面もさることながら、コンディション面を挙げないわけにはいかない。昨シーズンは開幕前にインフルエンザを患い、2月上旬の宮崎キャンプに参加できなかった。なんとか開幕に間に合わせたものの、本来のコンディションには程遠かった。
本人は当時について「インフルエンザで体重が落ちてしまって、まずは普通の生活できる体調に戻すのもひと苦労だった。そこからアスリートのコンディションに上げるには時間が足りなかった」と吐露している。
対して、今シーズンは開幕前から順調にトレーニングを消化し、開幕戦の湘南戦では自らの直接FKで号砲を放った。チームは波に乗り、自身はセットプレーで得点をお膳立てするだけでなく、献身的な守備でも貢献。樋口監督は「守備のスイッチを入れる選手として重要な役割を果たしてくれている」と賛辞を惜しまない。ボールを奪いに出るスタイルにおいても中村は欠かせない。
前半戦17試合を終え、中村はリーグ戦全試合に先発出場し、プレータイムはチーム1位の1,526分を記録した。指揮官の揺るがぬ信頼は、そのままチーム好調の原動力と言い換えることができる。
■スターティングメンバーへの信頼の高さ
樋口監督が信頼を寄せているのは中村だけではない。誤解を恐れず言うならば、先発選手への信頼度がとても高い。その証左として交代時間が挙げられる。
これまでの17試合を消化したのだから、監督には最大で51回の交代を行う“権利”がある。そのうち樋口監督が権利を行使したのは42回。ちなみに交代枠3枚を1つも使わない試合はなかった。現行ルールでは3人まで選手交代できる一方で、誰も交代しないという選択肢もあるわけだから、樋口監督の『42』という数字は妥当かもしれない。
ただし『42』の内訳は興味深い。そのうち試合時間が残り10分を切ってからの交代は7割以上となる『30』に上る。さらにロスタイムを含む残り1分での交代は『14』ある。その多くがいわゆる時間稼ぎの交代で、戦術的な意図は薄い。
このデータが指し示しているのは、横浜FMが先発11人に依存傾向にあるという事実だ。序盤戦、いくつかの負傷に悩まされていた齋藤はプレー時間を制限せざるをえず、ベンチスタートから切り札として起用されていた。そのときばかりは樋口監督の動きも幾分早かったものの、齋藤がコンディションを戻して先発にベストメンバーが揃ってからは展開に関係なく戦況を見守る傾向にある。
ベストメンバーの平均年齢が30歳を超えるチームだが、大きな負傷はほとんど発生していない。現在もフィールドプレーヤー全員が全体練習に参加している。ベテラン陣もすこぶる元気で、前出の中村を筆頭にドゥトラ、マルキーニョス、そして中澤といった重鎮たちは自己管理を徹底している。そういった振る舞いは「身近なところを良いお手本がある」と兵藤が話すとおり、中堅以下の選手にも浸透しつつある。
そうすることで選手層の薄さという弱点を覆い隠してきた。確かにアキレス腱はあるが、それが顕在化しなければ不安要素にはならない。少なくとも前半戦の戦いぶりはそうだった。
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