アメリカ・サンディエゴ在住のブラインドセーラーHIROこと岩本光弘さんと、ニュースキャスターの辛坊治郎さんが、ダブルハンドによる小型ヨットでの太平洋横断に挑戦することを発表しました。関西を中心に支持を集める人気キャスターの辛坊さんが、なぜヨット? ブラインドセーリングって何? いろんな疑問を抱えつつ、ふたりが顔を揃える記者会見に行ってきました。

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大勢のマスコミが詰めかける中、辛坊さんと岩本さんが姿を現します。岩本さんは辛坊さんに支えられながら、ゆっくりと席につきます。そもそもブラインドセーリングとは、視覚障害者(ブラインドセーラー)と晴眼者(サイテッドセーラー)が協力してヨットでセーリングすることを指します。今回はブラインドセーリングの第一人者である岩本さんが、世界初のブラインドセーリングによる太平洋横断を目指すということで、そのパートナーとして辛坊さんが名乗りを上げたというわけです。

事の発端は、’08年から’11年にかけて間寛平さんがマラソンとヨットで世界一周したプロジェクト”アースマラソン”。その中で寛平さんが操縦したヨット『エオラス号』が現在役目を終え眠っているのを受け、「このヨットを本当に必要としている人に活用してもらいたい」と呼びかけたところ、名乗りを上げたのが"ブラインドセーリングでの太平洋横断"を夢に持つ岩本さんでした。その後パートナーを探しているときに、大学在学中にヨット同好会に所属し、かねてから口ぐせのように"人生の目標はヨットでの太平洋横断"と語っていた辛坊さんの名前が上がり、ダメモトでオファーしたところ快諾。今回のタッグが誕生しました。

■人生はイベント、イベントのない人生はつまらない

「1年遅くても1年早くてもどうかなっていうタイミングだったので、本当にちょうどいいときに来た話だったんです。あまり言えないんですが……ちょっと疲れちゃって(笑)。どっかで休みたいなと思ってたときにこの話が来て、これは休むには絶好の理由だと。

わたし、人生はイベントだって思ってるんです。イベントのない人生ってつまんないじゃないですか? そう意味でこれはけっこうなでかいイベントだなと。とにかく面白そうだ、それ以外のことは実はなにも考えていないんです。主役はあくまでHIROさんですから、わたしは"海の盲導犬"として機材その他が壊れたときなど、目の見えない方では難しい修理などを担当するということで、ご声援いただければと思います」

いつもの軽妙な語り口で、今回のプロジェクトに参加した理由を説明する辛坊さん。しかし今回の旅は全航程55日間を予定しており、テレビレギュラーや雑誌連載、講演会など多くの仕事を休まなければなりません。その裏には、今回の太平洋横断に賭けるなみなみならぬ気合いがあることは言うまでもないでしょう。

■一度きりの人生なんだから、ポジティブに生きなければ意味がない

岩本さんは高校生の頃に全盲となりました。元々はキャッチボールができるほどの視力を持っていながら思春期に失明した経験は、岩本さんにとって大きなショックとなったそうです。しかしその経験をバネに「何事もポジティブに捉え、行動していく」という信念を持ち、その後アメリカに移住。ブラインドセーラーとして活躍しています。今回のプロジェクトを受けて現在は日本に帰国し、辛抱さんと集中的にトレーニングを行っています。

「高校生で失明したとき、やはり非常にネガティブになって海に身を投げようとしたんですけど、そのときは非常に海が怖かった。でも目が見えていても、生きる意味を見失ってしまっている人はたくさんいます。

僕がポジティブに生きることで、そういう人たちに勇気と希望を与えられるかもしれない。一度きりの人生なんだから、ポジティブに生きなければ意味がない。そう思うようになり、いろんなことにチャレンジするようになりました。それが今回の太平洋横断にもつながりましたね」

そんな岩本さんの思いが、ある別のプロジェクトとして動き出しています。現在、東日本大震災でヨットを流されてしまった福島県立いわき海星高等学校のヨット部に、ヨットを贈る募金活動を行っているのです。「津波が起きたとき、このことをどうポジティブに捉えられるか考えました。子どもたちに『海はまだ君たちを待っているよ』ということを伝えたい」と語る岩本さん。今回のプロジェクトは岩本さん自身の夢だけではなく、多くの人の夢を乗せた航海でもあるのです。

6月に大阪から福島へ、そして福島から太平洋を横断しアメリカ・サンディエゴへと向かう長い旅。全盲のセーラーと人気キャスターという異色のコンビは、この旅を通じてどんなメッセージを届けてくれるのでしょうか。航海の様子は公式HPやTwitter、Facebookでも随時更新されていくので、ぜひチェックしてみてください。

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