日本大学硬式野球部にとって昨年は不運な一年となってしまった。一昨年の春季リーグで2部から1部に復帰したものの、2季目の昨春再び2部に降格。1部復帰を目指して戦った秋季リーグではプレーオフの末専修大学に敗れ、入れ替え戦の挑戦権を逃してしまうという(専修大学は入れ替え戦で東洋大学に勝利し1部昇格を果たす)、まさに"戦国東都"の厳しさを痛感した一年であった。主力だった4年生も多く抜けて"新しく"なった今年の日本大学野球部の仲村恒一監督に話を伺った。
「まずは地道に、もう一度地べたにへばりついて、そこから立ち上がること。」
ー昨年1年間のリーグ戦を振り返っていかがでしたか?
結果的には最悪のシーズンに春、秋となったんですけれども、出せる力を出し切れないというか、まだまだどこかに隙があったんだろうなと。それを埋めていかないと1部に定着して野球をやっていくことは難しいということを改めて知らされた一年だったと思っております。
ーその中から学びえた教訓はありますか?
はっきり言って敗因といった敗因はあまりないんですよ。ピッチャーも崩れたわけではなく、また打線が打てないといったのはどこの大学にも共通した課題ではあると思うのですが。その中で勝負どころ、ここ一番での一本、ここ一番での一球。それがなかなか自分たちに引き込めなかったと。言ってみればまだまだチーム、それから選手それぞれが成長途上であったのかなと思っているんですけどね。それをもう一度精神的な部分から作り直さなければいけないといけない、ということを学んだ一年でしたね。
ーそういった経験を踏まえ、現在のチームの状況はいかがですか?
チーム自体は新チームになって、チームの色とかはこれから出てくると思うんですけどね。まずは地道に、もう一度地べたにへばりついて、そこから立ち上がること。積み上げるのではなく、もう一度ゼロからスタートして、基礎的なこと、嫌なことからどんどんやっていきたいですね。メンバーも代が替わるということもあるので。
ー去年レギュラーの外野手3人が代替わりで抜けたことに対する不安などはありますか?
いや、不安よりも楽しみのほうが多いですね。外野手に加えて投手も4年生が抜けたことで下級生が投げることになりますが、不安よりもどういう野球、プレーをしてくれるかなといった楽しみのほうがある意味多いですかね。
ー特に期待をかけている選手はいますか?
いや、今は本当に横一線ですね。誰が出てくるか、みんな一生懸命頑張っていますからね。若干経験のある根岸が中心になって外野手を引っ張っているところはありますけども、あとは誰がどうなるかなと。練習試合等で色んな選手にチャンスを与えながら、こっちから誰がレギュラーと決めるのではなく、やはり自分からレギュラーを掴み取ってくれた選手が今年のチームでレギュラーとなってくれればと思っていますね。
ー今年度の主将について
(主将は)捕手の柴原です。リーダー(的存在)であり、下級生からも慕われる信頼感があって、チームを引っ張っていけるリーダーシップが大事であること、また彼が捕手というポジションであることも含め、選びました。レギュラーでの経験も長いですし。
「あとは結果を残すだけだと思っています。」
ー新チームのスローガン
スローガンは私が来てからいっしょですが、「speed&passion」。スピード感を持って行動すること、情熱を持ってやっていけば必ず結果、目的は成就できる。といった意味でこのスローガンを掲げています。
ー新チームになってから取り入れていることはありますか?
チーム自体はやっていることは変わりないですけども、「どうすれば勝てるか」といったこと。2部で、1部で、入れ替え戦で戦っていくには、といったことをオフの期間を使って選手たちに考えさせています。皆「考える」ことはできるんです。「こうした方がいい」、「もっとこうするべきだ」と。そして分かっているならやれと。グラウンドはもちろん、私生活でも徹底してやれと。しっかり手抜きをせずやりきることを、今年のチームではリーグ戦が終わるまでやらせたいと思っています。
ー現時点での課題
課題、というよりも先ほどのように一つ一つを丁寧に、抜かりなくやれるかどうか。キャッチボール一つ、ランニング一つから全員が手を抜くことなく、やりきれるかどうか。それが一番の課題だと思っています。
ーチームの中心でもある村田選手について
柴原と村田が4年生でレギュラーとしてやってきて中心にいるのは確かなんですけれども、それが中心的な存在ではなく、彼らがサポートに回れるようなチームになれば強くなると思います。彼らに言ったのは「お前たちが3割5分打っても他がだめでは勝てない。お前たちが2割5分でもいいから、みんなが2割5分打てば勝てる」と。そういうチームにしようと言っていますね。
ー次のシーズンに向けての目標
もちろん、勝つしかない。グラウンドの改修に学校も支援してくれていますので、あとは結果を残すだけだと思っています。選手を信頼して、選手の力を引き出して、良い結果を残させてやりたいと思っています。
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春休み期間にグラウンドの改修工事も完成。選手達も気分を一新して再び神宮球場で活躍することを目指し、春季リーグ開幕に向けて残り一ヶ月ラストスパートをかけている。
写真:小沼 和希
PCMAX
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