フランス戦の採点です。

川島 7 美技でピンチを救うも、意外な感じはしなかった。フランスのシュートは最後まで入らなそうな気がしていた。その一番の理由は、フランスのプレイのリズムが単調だったことにある。機械的で正直。かつてに比べ、狡さ巧さは著しく低下している。デシャン監督のような選手がいないのだ。プティもいなければ、マケレレもいない、ビエラもいない。操縦桿を握る選手がいないので、一本調子になりやすいのだ。日本の選手はそのリズムに合っていた。最初から最後まで。それが最も端的に表れていたのがGK川島。再三のセーブにも慌てたところは一切なかった。

酒井宏 5 ザッケローニは日本の右サイドの動きを褒めたが、実際は特筆するほどではなかった。酒井宏に関しては無理なクロス、フィードも目立った。清武とのコンビネーションで、攻め上がったシーンはほとんどなかった。

吉田 5 そつなくこなしたが、プレイにゆとりが見られなかった。とりわけ、フィードに余裕がなかった。攻撃の起点になれなかったことが、日本の攻めが上手く行かなかった原因のひとつといってもいい。もちろん、他にもその理由はたくさんあるけれど。

今野 6 最後の得点シーンのドリブル&パスはコース、タイミングとも申し分なし。他のセンターバック候補には、真似のできないプレイ。元MFの本領を土壇場で発揮した。

長友 6.5 前半はなりを潜めていたが、終盤、相手の右サイドバックに縦への勝負を挑む姿にタフさと頼もしさを感じた。ただ、そこで高い位置を保てた理由は、6人の交替枠をフルに使った相手のメンバーチェンジと大きな関係がある。日本に決勝ゴールが生まれた理由もしかり。日本がよかったというより、相手のバランスがメンバー交替によって崩れたことにある。

長谷部 4.5 吉田同様、フィードに余裕がなかった。落ち着きのなさが目立った。「心を整える」の著者らしくないプレイと言ったら怒られるだろうか。長谷部は吉田より経験がある。ポジションもDFではなくMFだ。チームを整える役割を吉田以上に担っている。しかもチームのキャプテンだ。問題性はこちらの方が高い。平素のプレイ環境をいち早く整えないと、細貝、高橋らに逆転を許す可能性は十分。日本にとってこれは大きな問題だ。

遠藤 5 本田がいるとボールの収まりどころは彼になる。攻撃のリズムの源が本田になる。必然、遠藤の影は薄くなる。けっしていいことだとは思わないが、これがザックジャパンの現実だった。その本田がこの日は欠場。遠藤の存在感はアップした。一応、タマの収まりどころになっていた。だが、結果として本田欠場が響くことになった。収まってはいたが、しっかり収まったわけではない。タメまでは作れなかった。さらに言えば、視野が狭かった。前半から、逆サイドにフリーな選手はいた。そこでサイドチェンジが的確に行われていれば、チャンスは拡大した。ザッケローニは「後半、相手の守備陣にスペースが目に付くようになった」と言ったが、前半だってないわけではなかった。日本のパス回しは、人から人になっていた。スペースへの展開は皆無だった。サッカーは陣取り合戦であるとの基本を忘れていた。これはいまに始まった話ではない。昔からの癖であり、習慣だ。陣を意識したパス回しではないのだ。狭いエリアでのパス回しになるので、必然、難度は高くなる。相手の守備レベルが上がれば、ミスに繋がりやすい危険なパス回しでもある。それが前半、復活してしまった感じだった。遠藤もその中に紛れ込んでしまった。シャビ・アロンソにはなれなかった。

中村 5 ザッケローニは彼を毎度、1トップ下で起用するが、それはミスキャストだと思う。彼は正面を向いてプレイしたとき、特徴を出すタイプだ。相撲や柔道で言うところの半身の姿勢、あるいは背後にマークを背負う体勢では力は発揮できない。ポジションの適正は高い位置より低い位置にある。本人もそれを知っているのか、厳しいプレイが続くと、下がり目でプレイする。1トップ、ハーフナ―との距離は必然、離れる。セカンドストライカー的な役割は全く果たせなかった。1トップ下なのに、ゴールの期待ができない選手。やはりミスキャストだと思う。