12日間に渡って熱戦を繰り広げたロンドンパラリンピックが幕を閉じた。日本のメダル獲得数は金5、銀5、銅6の合計16個と苦戦をしいられ、前大会27個からメダル数を減らす結果となった。出場164カ国地域中、1位は中国。今大会は、メダル獲得数、金95、銀71、銅65の計231個と他国を引き離した。2位は2014年冬季五輪開催国のロシアで、金35を含む計101個。3位はイギリスで金34を含む計120個だった。開催国、開催を控える国の健闘は、メダル数に顕著に現れた。

日本人選手、コーチらに話を聞くと、「ベストタイムを更新しても、世界の強さには追いつけない」など競技レベルの高さを指摘する声が多い。他国の障害者スポーツに対する強化は、急激に進んでいるという。

中国の「XINHUA NEWS AGENCY」のジャーナリストZhengguang Luoさんにメダル獲得の強さを聞いた。「選手たちの練習の成果はもちろんあるが」と前置きしながらも、国が選手たちに行うサポートの手厚さをアピール。「大会に出るアスリートは3〜4カ月仕事を休んでも国から報酬(給料)をもらい、練習に打ち込める最高の環境が与えられる。もちろん仕事はキープしたまま。メダルが取れなくても国のために戦うのだから、当たり前のことだと思う」

モンゴルのジャーナリストDorjmaaさんには逆に質問され、答えに窮した。「2008年から『スポーツマンに敬意を』とオリンピック同様、パラリンピックの選手たちの強化に力を入れ、練習環境はもちろん、多額の報奨金が支払われる。日本ぐらい豊かな国なら、選手たちの待遇や環境はいいんだろうね」。多くの日本人アスリートは、仕事をしながらトレーニングに励み、自費で遠征に出かける実情。環境はかなり違う。

また、中国ではパラリンピックに対する国民の意識も変わったという。「自国開催でパラリンピックを生観戦したり、テレビで見る機会に恵まれた国民は、パラリンピックに非常に高い関心を寄せ、今大会も選手の活躍を応援している」(Luoさん)

2020年の五輪招致に向けてアスリートができることについて。北京に続き連覇を果たした、車椅子テニスの国枝慎吾選手は「競技のレベルが高いほど、観戦してくれる人が増え、大会の規模も大きくなる。個人のレベルを上げて、大舞台で勝利することは結果的に多くの人に認知される」と話す。五輪の自国開催は、「障害者スポーツを『知る』大きなきっかけになる」と、選手たちは口を揃える。

ロンドンでは10日、オリンピック代表とパラリンピック代表約800名による合同祝賀パレードが行われ、多くの市民が選手らの健闘を讃え喜びを分かち合った。「日本はもう、祝賀パレード終わってしまいましたね」。選手が何気なくつぶやいた言葉。日本選手団団長の話にもあったが、まずは、国の政策としての環境整備、意識の改革が必要だ。
(山下敦子)