■昇り調子の京都

京都は昇り調子だ。DFバヤリッツァは「やっているサッカーは変わっていないが、勝てなかったときと変わったところがあるとすれば、少ないチャンスで点を決められるようになったことだ」と言う。チームの2点目をマークした殊勲の中村は、あくまで自分の課題としてだが「ハットトリックはできた」と言う。いつも高い目標を掲げる中村の言うことだから少し割り引く必要はあるのかもしれない。それでもこういうことが言えるチーム状態であることの傍証にはなるだろう。

後半は4-2-3-1で戦った。その左サイドハーフで途中出場した駒井は「サイドに開けてやりやすかった」と言っている。戦術的なヴァリエーションをつけることができる、その余裕があるということだろうか。
　キャプテンの中山博貴は「先制されると難しい試合がつづいていたが、最近は先に点が獲れている」と、主導権を握っていることに手応えを感じている。
「内容が悪くとも勝ちきる我慢強さ、勝負強さをもう一度考えてやってきた。継続してやるだけ」（中山）

大木監督は「町田に勝つことが恩返し」だと言った。このままではいけないのだという事実を町田につきつける勝利を糧に、京都はJ1昇格に向けた態勢を整えつつある。

■著者プロフィール

後藤勝

東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。
2011年3月、FC東京の取材に特化した有料メールマガジン「トーキョーワッショイ！MM」を創刊した。