国民の税金が使われたのは現地までの往復航空券代。当然、エコノミークラスなので金額はせいぜい10万円程度。国民1人当たりにすれば0.0ウン円。すなわちそのコメンテーターは、五輪で不振に終わった選手には1円たりとも払いたくないと公の場で言い切ったわけだ。立場の弱いアマチュア選手に対してである。

さらに言えば、そこに同席していた他のコメンテーター及び司会者に、彼女の言葉を否定する人がいなかったことにも驚かされた。利用するだけ利用しておいて、結果が出なければ落とす。メディアの狡さを見た瞬間でもあった。

日本人は外国人に比べて、スポーツ選手をリスペクトする人の数が少ないとは、かねてからの実感だ。スポーツ選手の地位が日本ほど低い国も珍しい、と。スポーツを取り巻く様々なバランスに異常を感じる。

五輪、WBCで「ニッポン!」と熱く騒ぎたいのに、肝心の選手には綺麗事を強要する。「やっぱりお金ですか」と、言ってしまう。日の丸精神を背負わせ、待遇には目もくれず、頑張りを強要する。そして成績が出なければ、一言くさそうとする人もいる。

まさに理不尽。スポーツ選手にとってはハッピーではない、日本はスポーツ貧国だと思う。五輪を目の前にすると、とりわけそういいたくなってしまうのだ。