警官が帽子を逆向きにかぶるのは、ありか、なしか? 
逆向きにってのは、小学生がよくやってる感じで、キャップのつばを後頭部側にして、ぎゅっと斜めにかぶるスタイルね。
「轟クン…!! ボーシが逆だよ…ちゃんとかぶりなさい!」
と上司から注意される新米警官、轟轟(「とどろきごう」じゃなくて「ごうごう」が本名)。マンガ『へ〜せいポリスメン!!』の主人公。
「大丈夫ス…自分この方が調子いいんで…」
「!?」
しかも、轟は、中指の上に警棒を立ててバランスをとって遊んでいるという始末。
「…何してんの?」
「スイマセン…」
「いや…スイマセンじゃなくてさ…」
上司、完全に困惑。
「スイマセン ちょっと…後にしてもらっていースか?」
マスコミ言説的に言えば、最近の若者は! これだから平成生まれは! ゆとり教育がッ! というタイプですな。
『へ〜せいポリスメン!!』は、このイラっとくる轟轟と、昭和生まれの上司(当然、こちらがツッコミ役となります)木梨巡査のコンビが、キャラが立った周囲の人たちとあれこれ巻き起こすドタバタコメディ。
『男たちの旅路』っていう警備会社の社員を描いた山田太一脚本の大傑作ドラマがあって、構図的にはシンクロしている。
吉岡司令補(鶴田浩二)は特攻隊の生き残り。新米の杉本(水谷豊)に「本当に、お前は生きたか。ギリギリまで生きてみたかッ」なんて熱く説教する。新米も「あんたには、全然わからないんだ。今の人間がわかっちゃいないんだ」と反発する。
世代の離れた二人が、仕事を軸にして対立してしまうという構図。
この関係が、平成も20年以上たった今、時代にあわせてドラマ化するならば、こうなっちゃうんだろうなーという感じ。
上司は、イラっとしたり怒ったりするけど熱く説教することはない。新米の轟は、反発するほどでもなく、自由気まま、怒られるのを気にもしてない(黒澤淳巡査部長の蹴りは恐れるけど)。
110番がきて出動しなきゃいけないかもしれないのでメン類はやめときなさい、という上司の注意も、軽く無視して、しかも大盛を注文。
案の定、近所でトラブル。近隣住民から110番通報。
「行くよ! ゴウ君!!」
「え…まだ半分以上残ってんスけど…」
木梨巡査、激怒、でも。
「じゃ せめてメンだけでも…」
って、あれスね。
マンガを、しかも、こういうクスクス笑い系のマンガの面白さを、文字で表現しようとしても、伝わらないスよね。まあ、伝わったってことにして話を進めていいスかね(←すぐマンガに影響されるタイプなんスよ俺)。

今世紀最大の大傑作! という力こぶ入れて紹介するマンガじゃなくて、「けっこーおもしろいんでちょっと読んでみて」ぐらいの、ほんとは大好きなんだけど、大好きって言っちゃうと期待させすぎちゃうかなーっていうテンション。
「イマドキの女子が読んでみたら意外に面白いマンガ第1位(YJ調べ)」らしいのだが、そーゆー感じのおもしろさ。
あと、平成生まれの新人にイラっとさせられている上司のみなさま必読。読み進めるうちに轟くんのイラッとさせる態度になんというか、愛着というんでしょうか、愛嬌というんでしょうか、そういったものを感じてきて、なんだか許せる度量というものが成長してきます。これぞ、虚構のユーモアが持つパワーです(キリッ。
2月17日、第7巻が出るので、まぁ楽しみっス。
あ、ここで試し読みできる!(米光一成)