■アマチュアとプロの混在するJFLの今後

JリーグとJFLが全日程を終了し、各カテゴリーの昇降格がはっきりしてきた。

J2とJ1の3チーム自動入れ替え、FC町田ゼルビアと松本山雅FCのJ2加盟がそれぞれ承認された。来季2012年シーズンはJ1全18チーム、J2全22チームで開催される。
JFLはジェフリザーブズが退会するため、2チームのJ2加盟と合わせて3枠が空くことになり、最下位ソニー仙台FCの東北リーグ自動降格はなくなった。これにより全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンド上位3チームがJFLに自動昇格する。
今後はこれらの決定に伴い、JFLに昇格するチームが属していた各地域リーグに空きが出て、下部カテゴリーの昇降格が順次決まっていくことになる。

J2の加盟クラブ数が、かねてよりJリーグが最大枠と予告していた定数22に達したことで、早ければ2012年度末からJ2とJFLのあいだでの自動入れ替え、または入れ替え戦が発生する見込みが強くなっている。
Jリーグは、J2の22枠が埋まったあとも門戸は閉じないと言いつづけてきた。準加盟の資格を持ったクラブチームは来季以降もJをめざす。

しかしJリーグをめざす、あるいはJリーグにいつづけたいクラブへの処遇は、具体的にはどうなるのだろうか。
自動入れ替えか入れ替え戦があるとして、対象となるのはJ2の下位何チームなのか。そしてJFLのほうは、いままでどおり上位4位以内に入った準加盟チームなのか。
J2とJFLでは運営に要する予算の規模、あるいは入場料などの収入に大きな隔たりがある。JFLに降格したクラブは大幅減収となり、J2に復帰するための力をたくわえられるかは疑わしい。
もしJFLからJ2への昇格条件が厳しくなるようであれば、準加盟クラブがJ2加盟をあきらめてただのアマチュアクラブに戻る、これまで準加盟をめざしていたクラブが解散するという事態も増えてくるのではないか。
J2からJFLに降格したクラブ、JFLからJ2をめざすクラブにJリーグが補助金を出すのか?しかしJリーグ加盟クラブからは、なぜ彼らに利益を配分しなくてはならないのかと不満が出るだろう。
ではJFLの運営基準をJ2並にするのか?チケット代金を上げ、ホームゲーム運営費を上げ、施設を贅沢にすれば、ついてこられないクラブが出てくるだろう。

■社会人サッカーの頂点にプロが紛れ込んでいる現状

現在のJFLは社会人サッカーの頂点ということになっている。そこに、Jリーグをめざすプロまたはセミプロのクラブが紛れ込んでいるのだと。
しかし本来、プロとアマチュアをいっしょくたにしていることに問題があるのではないか。ドイツがブンデスリーガ2部とレギオナルリーガのあいだにブンデス3部を開設した事例が当てはまるかどうかはわからないが、Jリーグのプロクラブ、Jリーグをめざすクラブ、純粋なアマチュアクラブや企業チームを分ける時期に来ているのかもしれない。

2011年シーズンのJFLにいた企業チームはSAGAWA SHIGA FC、佐川印刷SC、Honda FC、ホンダロックSC、ソニー仙台FCのみ。
そのほかはJをめざす、めざしてJに上がりそこねたクラブがほとんどだ。社員選手はいても、純然たるアマチュアクラブ化した横河武蔵野FCはかなり浮いた存在と言える。
準加盟資格を持つカマタマーレ讃岐とVファーレン長崎(JFL)、S.C.相模原(2012年度から関東リーグ1部)、準加盟資格を持たないがJリーグ加盟を希望しているAC長野パルセイロなどをJ3に属させ、アマチュアクラブや企業チームは社会人だけの全国リーグ、東西分割または地域リーグに属させたほうが自然な気はするが──。

いずれにしてもJリーグとJFLが、J2から落ちた場合はこうなる、JFLから昇格をめざす場合はこうなるというモデルと規定を提示しないかぎり、いまJFLにいるクラブは態度を決められない。