――議員さんの対応にも変化はありましたか?

「ありましたよ。最初はすごく好意的な方とそうでない方、あとは中間の方がいらっしゃいました。接していくうちにだんだんほぐれてきたというか、私の勝手な思い込みかもしれませんが、クラブに対して理解は示してもらえるようになったと思います。それと、議会にも足を運んで、ゼルビア関連のことが議題に上がったときはHPやツイッターで報告しました」

――クラブ内外の情報をサポーターが知ることは大切なことですよね。

「なるべく多くの人にわかっていてもらいたいのが、予算の多くを市債でスタジアムを改修してもらうということ。今後、われわれはそれを忘れてはいけないと思うんですよ。じゃあ、それでどうするか。われわれがお金を返すわけにはいかない。スタジアムを改修してくれと頼んだからには、クラブが成功することも大事ですが、町田市が掲げるスポーツ振興計画に貢献することなども重要だと思うんですよ。ゼルビアを通して、町田市の後押しをしていければと考えています」

――『支える会』の活動をするまで石黒さんはクラブとどういう関係だったのですか?

「08年からボランティアをしていました。それ以前は試合を見に行くだけでした。07年に地域決勝リーグで負けたことが悔しくて、何かやろうと思ってボランティアをはじめました。やはり感情の何かがないと一歩踏み出せないんでしょうね(笑)。私だけでなくて、ゼルビアのサポーターは昨年の不承認でかなり意識が高くなったと思いますよ。みんな、ゼルビアのことを『ウチのチーム』と言うようになりましたね」

――外から見る立場から、一緒に作り上げる意識が芽生えたということですね。

「そうですね。今までは外で見ていただけでした。署名活動を行ったり、チラシ配りをすることで意識が上がっていきましたね」

■市民が積極的にクラブに関わる

――昨年から取材をはじめて、Jリーグに行こうとしているチームに『支える会』のような組織がないことに驚きました。そういう面も含めての不承認だったのかなと思います。

「誰も言い出しませんでしたね。やはり市民の力が足りなかったですよね。町が盛り上がってないと、JリーグもOKは出しませんよね。今年は多少変わってきたというところも評価されたと思います。観客動員が一番のアピールになると思いますが、大事なことは市民がどういう活動をしているかということなのかなと思いましたね」

――市民が積極的にクラブにかかわる活動が最後の後押しになりますね。

「町田には元々Jリーグ基準のスタジアムがなく、政令指定都市でもない、大きい企業のバックアップがないクラブが市民の後押しなくしてJリーグに上がれるわけがないんですよ。昨年は熱におかされて、『行ける』と思い込んでいたんだけど、市民の力不足というのが大きかったということが活動をしていく中で感じましたね。途中からは自分自身に腹が立ちました」

※ここから『ゼルビア支える会』のメンバーである今泉利恵さんも参加。

――昨年の不承認を受け、クラブの土台作りをできたと思うんですよ。もし、昨年の状態でJリーグに上がっていたら、ものすごく脆弱な組織のままだった戦い続けることとなったはずです。昨年のあの出来事はクラブにとってよかったのではないでしょうか?

今泉「甘かったですよね。活動していくうちにいろんなものが見えてきましたし、無駄じゃなかったでしょうね」

石黒「昨年上がらなくてよかったなと今は思えますよ。サポーター同士も一枚岩になれましたし、みんなで大きな声をあげていかないといろんなところに届かないということもわかりました。それで物理的に声を出そうと、ゴール裏に行く人が増えました(笑)」