おそらく、今年の国際野球界の中でも一、二を争う大番狂わせではないでしょうか。チェコ・エキストラリーガのファイナル第3・4戦が、同国・ブルノで行われ、ホームのテクニカ・ブルノがAVGドラッシ・ブルノを8-7、6-5で制し、通算成績を3勝1敗として、見事今季の国内タイトルを獲得しました。チェコリーグのタイトルがドラッシ以外のクラブに渡ったのは、実に17年ぶりのことになります。

 第2戦までをドラッシのホーム・AVGアリーナで消化し、1勝1敗となっていた今年のファイナル。初戦こそ、1-2で惜しくも落としたテクニカでしたが、翌日の第2戦では打線が奮起し、7-3で快勝を収めます。この結果が「第3、4戦にも効いてくるのではないか」と以前の記事では書きましたが、結果的にはこれが的中することに。ホームでの2試合は、ともに打ち合いの様相を呈しましたが、どちらの試合も最後には、テクニカに白星が転がり込む結果となりました。ただ、スコア自体はいずれも1点差。それだけ、最後までどちらに転ぶかわからない、ファイナルにふさわしい緊迫した試合であったことがうかがえます。

 実は、ネット上のどこを探しても、この試合の詳しいボックススコアが出てないので、あまり話を膨らませられないのが残念なんですが(汗)、ここで興味深い逸話を1つ。クラブ公式サイトによると、勝ったテクニカは今年、クラブ創設40周年を迎えていたんだそうです。40年目という節目の年に、絶対王者ドラッシの17連覇を阻止して、自らが国内王者に輝くとは、なんとも素晴らしいアニバーサリーですよね。しかも、昨年は全く同じカードで敗れていただけに、余計に選手たちの今季にかける思いは強かったでしょう。それを見事に成し遂げたというのは、本当に見事としか言いようがありません。最近は、人気アニメの実写映画化が流行みたいになってるようですが、本当に映画化すべき話は、むしろこっちなんじゃないの?

 なにはともあれ、優勝したテクニカ・ブルノの関係者の皆さん、本当におめでとうございます。来年からは、また新たなシーズンが始まりますが、ディフェンディングチャンピオンとしての、堂々たる戦いぶりを期待したいと思います。また、AVGドラッシ・ブルノの皆さん、準優勝おめでとうございます。過去16年間、王座を独占してきたクラブにとっては、物足りない結果かもしれませんが、それでも国内ファイナリストになれること自体、十分にすごいことだと思います。ドラッシの、チェコ球界を代表するクラブとしての看板に、この結果が傷をつけることはないでしょう。もっとも、来季は久しぶりの挑戦者としての戦い。今年獲れなかったタイトルを奪い返すつもりで、挑んでいってもらいたいと思います。

 これで、今年のチェコリーグのシーズンはすべて終了。ヨーロッパリーグも、大分シーズンオフを迎えるところが増えてきました。冬の間の充電期間を経て、来年はいったいどのような戦いが繰り広げられるのか?首を長くして待っていたいと思います。