10月22日から30日まで開催される第24回東京国際映画祭をムービーエンターで大特集。各部門ごとに作品をご紹介しよう。

 ワールドシネマ部門は、各映画祭の受賞作品や、超個性派監督の問題作、あるいは東京国際映画祭と縁の深い期待の若手の新作など、コアな映画ファン垂涎の作品が揃っている。劇場公開が未定の映画が多いので、この機会は見逃せない。

『アナザー・ハッピー・デイ』
【作品解説】
結婚式に集合した大家族。新郎の両親は離婚しており、母親は前夫の現在の妻の存在が気に入らない。親戚の子供たちも問題を抱え、状況はカオスと化していく…。複雑な人間関係と感情の爆発を見事な演出で描く本作は、サンダンス映画祭で脚本賞を受賞。

『明日を継ぐために』
【作品解説】
LAで暮らすヒスパニック系のカルロスは、息子の将来のためにも借金して商売を立ち上げるが…。よりよい未来のために奮闘する移民の親子の姿を温かく見つめる人間ドラマ。監督は『アバウト・ア・ボーイ』(02)のクリス・ワイツ。

『Bonsai 〜 盆栽』
【作品解説】
8年間の年月を通じた、作家志望青年フリオと恋人エミリアの物語。物語を語ることへの哲学的な問いを含みながら、青春映画としてビターで爽やかな余韻を残す演出が鮮やか。カンヌ映画祭「ある視点」部門正式出品作品。
【あらすじ】
フリオは、最新小説の原稿をタイプしてくれる人を探している大御所作家のガスムリと出会う。彼は仕事を貰うことはできなかったのだが、このことを隣に住む恋人のブランカには打ち明けられず、ガスムリの原稿をタイプしているふりをする。だがタイプしている小説は、実は彼自身が書いたものだ。小説の構想を練っていたフリオは8年前にヴァルディヴィアで文学を学んでいた頃のエミリアとの恋を描くことにする。

『チキンとプラム』
【作品解説】
楽器を壊され、絶望のあまり死を決意した音楽家が、最後の8日間で人生を振り返り、叶うことのなかった愛を思い出す…。『ペルセポリス』の監督が、再び自身のマンガを映画化した大人のファンタジー。ヴェネチア映画祭コンペ部門正式出品作品。
【あらすじ】
1958年テヘラン。著名なバイオリン奏者ナセル・アリ・カーンは大切な楽器を壊されてしまう。彼はそれの代わる次の楽器を見つけられず、音楽のない人生は考えられないと沈みこむ。彼は床に臥し、若かった頃のことから未来のことまで深く思いをめぐらす。その後1週間でこの心ひかれる物語が解決したとき、私たちは彼の秘密と、音楽と愛のために人生をあきらめるに至った深遠な思いを知ることになる。

『メカス×ゲリン 往復書簡』
【作品解説】
アメリカのインディペンデント映画の重鎮であるジョナス・メカスと、『シルビアのいる街で』で世界の注目を集めるホセ・ルイス・ゲリンとが交わすビデオ・レター。国境と年齢を越えたふたりの芸術家の邂逅は、私生活のスケッチを至上の映画体験へと昇華させる。

『クレイジー・ホース(仮題)』
【作品解説】
ドキュメンタリー監督として有名なフレデリック・ワイズマンが、パリの伝説的なクラブ「Crazy Horse」の舞台裏を描く。

『ある娼館の記憶』
【作品解説】
20世紀初頭、パリ。閉鎖目前の高級娼館を舞台に、娼婦たちの争い、不安、喜び、痛みを、絵画のような映像と見事なアンサンブルキャストで描く。狭い空間内で展開する群像劇をさばくボネロ監督の演出力が光る。カンヌ映画祭コンペ部門正式出品作品。