試合 :FIFA女子W杯ドイツ2011 決勝T 準決勝
開催日:2011年7月14日
結果 :日本代表勝利
スコア:「3−1」
得点者:ウクビスト 川澄 澤 川澄

○ なでしこジャパン

FW:川澄 安藤
MF:宮間 大野
MF:澤  阪口
DF:鮫島 熊谷 岩清水 近賀
GK:海堀

FW:永里 安藤
MF:上尾野辺 高瀬
MF:澤  阪口
DF:鮫島 熊谷 岩清水 近賀
GK:海堀


ドイツを破った日本にもう怖いものは無いですね。相手が身体能力で上回っていてもやられる気がしませんでした。スウェーデンは、中盤で日本に負けないように、という戦い方で挑んできて、最初はそれによってなかなか前にパスが出せず、それが先制点を奪われる事にもつながってしまいましたが、しかし、先制点を奪われた事にほとんど動揺する事無く、すぐに同点に追い付けた事、これが大きかったように思います。

この試合は全員が素晴らしいプレーを見せていましたが、その中でも特に良かったのが、川澄と大野の2人ですね。川澄は身体は大きくないですが、とても身体の使い方が上手く、高いボールキープ力を見せていました。また、ボールの方が向こうからやってくる、という感じにもなっていて、まさに勝利の女神だったと思います。

岩淵、澤、丸山、そして、この試合では川澄。試合毎に大活躍する選手が変わるというのは最高の流れだと思います。更に、この試合での大野は良かったですね。ここまでの試合では少し元気が無いかな、という感じでしたが、この試合ではドリブルで仕掛ける意識が高く、それが同点ゴールを生み出しました。上手い反転からのドリブルには力強さがあり、素晴らしかったと思います。

安藤は本当に良く走り、また、潰れ役として大きく貢献していました。ミスが失点につながってはしまいましたが、それを取り返した澤はさすがですね。鮫島のドリブルは切れ味抜群でした。阪口、熊谷、岩清水、この3人の守備力の高さは素晴らしいと思います。GK海堀はどんどんパフォーマンスを上げていますね。宮間と近賀も良かったと思います。

後半、逆転してからの日本のサッカーはシャンパンサッカーでした。ハイプレスで相手に思うような攻撃をほとんどさせず、パス回しで相手を翻弄して疲れさせ、最後はドリブルで切り崩して行く、まさに理想的なサッカーでした。男子の方でも欧州や南米の強豪国を相手にこのようなサッカーができればなぁ、と思って見ていました。

どの選手も1対1で簡単に競り負けないので、スウェーデンの選手の焦りや苛立ちが手に取るように分かりました。試合が終った後は、日本の強さに唖然としていたような感じでした。まあ、日本人でもその強さに驚いているぐらいなので、相手にしてみたら尚更なのではないかと思います。日本人選手の個々の能力の高さにドイツ戦では驚かされましたが、この試合でも更に驚かされました。

日本が優勝するかしないかは別として、今回のなでしこジャパンは日本女子サッカーの歴史を変えただけではなく、女子サッカーそのものを大きく変える事になるのではないかと思います。女子サッカーもここまでレベルが上がってきたのか、女子でもこういうサッカーができるのか、そういう強い衝撃を受けました。やはりこの事は女子サッカーというものが大きく変わるターニングポイントに成り得るのではないかと思います。

そして、個人的には、今回のなでしこの快進撃に対して、運が良かった、とか、奇跡、とか、そういう言葉が多く使われている事に強い違和感を抱いていました。やはり、決勝でアメリカに勝てるかどうかは別として、ここまで勝ち進めた事は、奇跡でも何でも無いと思います。個々の能力が低くて、あの条件でドイツに勝つ、という事は不可能だったと思います。