そんな二列目からの飛び出しでゴールを奪うワイナルドゥム。機動力のあるトップ下でボールを持ったときのアイディアもなかなか面白い。ビッククラブに引きぬかれてもおかしくない人材である。宮市のおかげで、恐らく日本での知名度も上がっているに違いない。

 というわけで、前半はどっちが首位なのかわからない展開だった。なので、後半のPSVは2つの修正を施す。中央にポイントを作れないのは的が足りないからだと解釈したPSV。なので、トイヴォネンを投入。FWの選手なのだが、普通に中盤もこなす柔軟な選手が登場する。もう1つの修正が、ワイナルドゥム封じ。彼のマークをちゃんと受け渡しを行うことで、フェイエノールトはなかなか攻撃面でポイントを作れなくなっていった。つまり、ワイナルドゥムの好きなスペースを潰すPSV。

 これで、状況を改善したかに見えたが、エンヘラールが一発退場してしまう。久々にひどい審判の判定を見た。ちなみに、審判もミスジャッジと理解していただろう。この後の審判の判定はかなり不安定なものになってしまった。こういうときの審判って帳尻合わせをしてしまったり、ファウルをファウルと判定しなくなったりする傾向がある。たぶん、世界共通の現象。

絶対に負けられない戦いで、こんな状況に陥ったPSV。これで破れかぶれの前プレが機能するようになるから面白い。尖兵のペレスは前から行くしかないだろうと周りに指示。後方の選手もプレスがかかっていれば、担当の選手を捨ててもOKと判断したのだろう。こうして、リスクあふれるプレスにフェイエノールトから流れを取り戻す。

 で、コーナーキックからのカウンターからPSVが同点ゴールを決める。ここまではさすがにPSV、首位の強さだって思っていたけど、徐々に相手が少ないんだから、ボールを回せるよねというフェイエノールトに試合を落ちつかされてしまう。そして、人数が足りないのだから、やっぱり崩されてまたもワイナルドゥムにヘディングで決められてしまう。

 しかし、フェイエノールトも守備の隙を見せるあたりに、こんな順位にいるんだろうなと感じさせた。セットプレーや交代で入ってきた選手をスルーなど。それでも、カウンターで追加点を決めて、前回の雪辱を果たしたフェイエノールトだった。だが、エンヘラールが退場しなければ、試合はどうなかったかわからない、というのが実情である。その状況のほうが、フェイエノールトも底力をもっと発揮できたのではないかという意味で、その状況で見たかった。

 ■宮市君について

 本日は対面の相手がなかなかの強者だった。しかし、何度か好機を作り、イエローまで出させたので、互角以上に渡り合ったと言える。縦へのドリブルは必殺技として、他の技も身につけないと未来は苦しくなるのかなと。ディエゴ・カペルのように。ただ、このリーグのほうがオフ・ザ・ボールの動きは身につきそうなので、もう2.3年過ごして、ELに出るのが良さそうな気配。

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