[画像] インタビュー:JUJU「気持ち次第で、人生はどうにでも変えられる」

 今年3月に発売したセカンドアルバム「What's Love?」が売上枚数30万枚を突破し、翌4月に発売したシングル「明日がくるなら JUJU with JAY'ED」が映画『余命1ヶ月の花嫁』の主題歌に起用され、2009年上半期配信チャート1位を記録、配信累計300万ダウンロードを突破したJUJU。11月25日には、現在公開中の映画『DISNEY'S クリスマス・キャロル』のイメージソングに起用されている、約7ヶ月ぶりとなるニューシングル「PRESENT」を発売した。

――今回の「PRESENT」は映画『Disney’s クリスマス・キャロル』のイメージソングとなっていますが、歌詞の内容は映画をある程度意識して作られたんですか?

JUJU:原作は知っていて、子供の頃に出会って以来ずっと好きな本だったし。今回「映画のイメージソングをやりませんか?」という話を頂いて、もちろん映画に沿った内容にしようということになって。小説も映画もものすごく深い話だから、イメージソングもものすごく深いメッセージの所まで追求したいというのがあって。ここ最近、Jeff Miyahara、私、RYLL君でずっとやっていたんですけど、私はRYLL君が所属するユニットRamWireにすごく興味があって。今回、ありきたりなバラードではないものにしたいなと思った時に、是非RYLL君と仕事が出来たらいいなと思って、RYLL君と一緒に制作しました。

――JUJUさんから何かリクエストされたことはありますか?

JUJU:過去があるから今があるし、今があるから明日があるという、毎日の積み重ねで自分が出来上がっているし、今が出来上がっているし。「現在とは、過去からの贈り物なんじゃないか?」というのを軸にしたくて。それをちゃんと自分の中で消化できると、今日の自分から明日の自分に何かプレゼントすることができたら、自分の人生って自分自身で絶対に如何ようにでも変えられるんじゃないか?というのを、原作が言っていることだったりもするし、それだけは曲の内容に組み込めるといいなと思いました。

――JUJUさん自身が小さい頃に、将来こんな大人になりたいと抱いていたイメージはありますか?

JUJU:私は子供の頃、大人に囲まれて育ったから、「大人って、すごく楽しそうだな」というイメージがあったので、「どういう」というより、「大人になりたいな」というのがすごくあって。私の周りは、子供みたいな大人ばっかりだったんですよ。大人然とした大人だとつまらないけど、全く大人ぶってない大人ばかりだったので、そういう大人になれればいいなと思っていたら、私も立派な“おども”になりました(笑)。ちっちゃい大人は、子供な大人は“ことな”って言うんですよ。それはちょっと駄目なんですけど、大きい子供は“おども”って言うんですね。私も立派な“おども”になりました(笑)。

――自分が小さな時って、どんな子供だったと思いますか?

JUJU:ものすごく斜に構えた子供でした。ニヒルな子供だった気がします(笑)。

――割と幼い頃から今とで、あまり変わってないですか?

JUJU:あまり変わってないですね。周りが“おども”ばかりだったせいで、大人の会話を子供に聞かせるのが全く平気な大人達だったんですよ。だから、もう超マセガキですよね。その大人達の音楽好きが、どんどん私に伝染っていって、歳を重ねるほどに音楽に傾倒していったといきましたね。

――仮に過去に戻れるとしたら、いつに戻りたいですか?

JUJU:高校時代に戻りたいですね。あの頃、試験勉強ってすごく嫌じゃないですか。でも今考えると、教科書があって、それをやっておけば確実にいい点が取れるのに、何故やらなかったんだろう?と思って(笑)。ちゃんとテスト勉強をして、確実な結果を出すがために、もう1回その3年間をやり直したいのと、高校3年間をろくでもない恋愛に費やしてしまったせいで、男性観が180度違うと思うんですね。それをヤメるため、プラスちゃんと勉強をするために高校3年間をやり直せたら、全く違う人生だろうなと思いますね。

――前作も映画の主題歌でしたが、それ以前にも映画のテーマ曲に起用されたことは何度かありましたよね。自分の曲がこうして映画に使用されるのは何故だと思いますか?

JUJU:何でしょうねー(笑)。私はもうありがたい限りなんですけど。

――ブログで土岐麻子さんと一緒の姿を見掛けましたが、土岐さんもCM音楽やナレーションのお仕事が多いので同様の質問をしたら、ご本人としてはあまり自覚が無いようなリアクションでしたね。

JUJU:鼻詰まりなのにねー。冗談ですけど…(笑)。

――ご本人も「ボソボソした抜けの悪い声」と仰ってましたね(笑)。主張が強過ぎず、映像と同居できるというか…。

JUJU:邪魔にならない。

――映像では伝わらない触覚や嗅覚など想像力を掻き立てられる、プラスアルファの相乗効果があるんでしょうね、という話をしていて。依頼する側には何らかの意図があると思うのですが、ご本人としてはどんな認識なのかなと。

JUJU:ただ、純粋に嬉しいですよね。お話を頂く度に「嬉しいなー」と思いながら「本当にすみません」と思うんですよ(笑)。

――これまでにクリスマスにまつわる想い出はありますか?

JUJU:これが全く無いんですよね。もうライブをしているか、レコーディングをしているか。

――もう少し過去にさかのぼってもらって(笑)

JUJU:NYにいる頃は、クリスマスって家族で過ごす日なので、前の日から下ごしらえして鶏を漬けておいたり、当日はもう朝からオーブンをフル稼働で、一羽丸ごとでローストチキンを作ったり、色んな料理を作って、友達を呼んでワイワイ騒いだり。でも、もっと思い浮かべるのは、NYのロックフェラー・センターのクリスマスツリー。むちゃくちゃデカイんですよ!「今年は史上最大の…」って毎年ずっと更新され続けていて、どこまでデカイもみの木があるんだろう?という興味もありつつ。私、本当に電飾マニアなんですよ!家中の照明を電飾にしたいぐらい電飾が好きなんです(笑)。

――前回のインタビューで「殺し屋みたいな部屋」だって言ってましたよね(笑)。

JUJU:そうです!殺し屋なんだけど、電飾。キラキラするけど、殺風景。殺風景だからこそ、キラキラすると更に殺風景な感じが(笑)。

――地方都市で名所になるぐらい、自宅の外壁をライトアップする方もいますが…。

JUJU:あれはちょっと違う匂いがする(笑)。

――「クリスマス・キャロル」の原作は、160年前に不況にあえぐロンドンで人々に愛された物語ですが、100年に1度の経済危機と言われる今、「PRESENT」を聴いてくれた人にどんな影響を与えられたらいいなと思いますか?

JUJU:「自分の気持ち次第で、自分の人生はどうにでも変えられる」というのが映画の内容でもあり、今回の曲もそういう内容になっているので、疲れている人に聴いて欲しいという気持ちが無茶苦茶あります。最近よく聞くのが、大学を卒業して、就職したばかりの23歳とかの人が1番失望しているらしくて、学生生活が終わって、もう自分の人生が決まっちゃったと思っている人が多いみたいなんですよ。確かにその年頃って1番最初の重大な決断を下すだろうし、そうかもしれないなと。でも、そこで決めた人生が、もうこれから先の人生の全てだと思う必要は無かったりするし。「本当はこういう仕事がしたかったのに、こっちの仕事に就いちゃったな」と言って、自分自身にリミットを設けちゃった人達に聴いて欲しいな、という気持ちがすごくありますね。

私達からしてみたら、別に20代前半なんて時間も山ほどあるし、何にでもなれるというか。それは別に30代でも、40代でも、50代でも、60代でも一緒だろうし。私自身も最近「もうこの歳だから、これは無理だな」と思うのって自分だけなんじゃないかと、すごく思って。自分が「この歳でも、まだいける」と思えば、気持ち次第だなとすごく思うので。私が前に「自分を諦めるのは自分だけなんだよ、自分を裏切るのも自分だけだし」と言われて、「クリスマス・キャロル」の原作を読んでもう1回その言葉を思い出したし、この曲を歌いながら思ったので。「遅すぎる」という言葉は自分が自分に対して使う言葉だと思うので、今回この曲聴いて「まだ大丈夫」と思う切っ掛けがちょっとでも作れたらいいなと思います。ちょっと迷いがあったり、自分自身に対して不安がっている方達に聴いて頂きたなと思います。

――自分の限界を実際よりも手前に引く人が多いですけど、意外とその先に行けちゃったりしますからね。以前にも、そんな話をしましたね(笑)。

JUJU:そうですよ!喉なんてもう毎年衰退していくものだと思っていたら、全然ねぇ。増強工事が着々と進んでる、みたいな。年々、喉が強くなっていってる気がして(笑)。

――昨年4月から今年3月まで毎月ジュジュ苑をやられて、10月10日にも東京国際フォーラム・ホールAでやられてましたが、今後のジュジュ苑の予定は?

JUJU:ジュジュ苑は、楽しいんですよねー。だから毎月は無理だとしても、最低年に2回とか、本当は3ヶ月に1回とか春・夏・秋・冬に出来たらいいんですけど(笑)。もっとツアーを長く、多くの場所を回りたいのもあったり、2パターン出来るといいなと。最終的にやりたいのは“女だらけの武道館”。女性もしくは女装した男性なら入れる(笑)。

この間10月10日のジュジュ苑で…と言っても、この間のはすごくちゃんとし過ぎてるジュジュ苑なんですけど。そんな国際フォーラムのホールAみたいな所で、5,000人規模でやることじゃないので(笑)。その時に「やっぱりジュジュ苑だから、お客さんと一緒に歌うコーナーを作って下さい」とMUSIC ON! TVに言われて、14歳の女の子が出てきたんですよ。その子は全く物怖じもせず楽しそうに歌って帰っていって、「最近の14歳はすげーな」と思ったら、後日談があって。

M-ON!でその模様を放送するために、未成年だから親御さんの確認を取るために電話したら、お母さんが「もう全然テレビに出して頂いて結構なんですけど、あの子はあの日以来『歌手になる夢が出来た、歌手になりたい!』と言い出して、すごくキラキラしていて楽しそうなんです。ありがとうございました。」みたいなことを言われたらしくて。M-ON!の人達も「もしデビューする時には応援させて頂きます」みたいな(笑)。そういうのがあると素敵だなと、ジュジュ苑をヤメるわけにはいかないなと思ったり。ジュジュ苑で“女だらけの武道館”がきっと楽しいな。この間の倍、1万人でジュジュ苑(笑)。

――さっき言っていた「2パターン」というのは?

JUJU:2パターンは、小さい箱でオールスタンディングのノリノリな方と、ホールでしっとり着席して聴く方と、ツアーの中で両方できたらいいなと思って。スガシカオさんって、1人で弾き語りのライブと、もうファンカホリックのファンクばっかりのライブと、アルバムのライブを3本同時でやってるじゃないですか。ああいうことが出来たらいいなー。色んなタイプのオーディエンスがいるし、すごく盛り上がりたい人も、ちゃんと座って聴きたい人もいるだろうし、そういうのを全部区分けできるといいな。ライブってどれだけ気の交換が出来るかで、すごく楽しかったり楽しくなかったり。楽しくないライブは自分のせいというか、私が自己嫌悪に陥るぐらいで、そんなに無いんですけど。くさい言い方をすると、そういうことをすると、分かち合えるものが多いんじゃないかな、というのがあるので。

――来年はライブをいっぱいやりたいなと。

JUJU:ライブをいっぱいやりたいですねー。私ヘタレだし、もう吐くほど緊張して嫌なんですけど、唯一普段CDを聴いて下さっている方達と会えるし、楽しいですもん。

――前回のツアーは全公演完売してしまったので、もっと多くの人に聴いてもらいたいなと思いつつ、今後のライブも楽しみにしています。

JUJU:はい、頑張ります。ありがとうございます。

取材・文:原 宏治、撮影:野原誠治