出版によって人生が劇的に変化していくサクセスストーリーをお届けする「わたしが本を出した理由」は、今回で最終回。2008年秋、ブログ本出版を成し遂げた聡美(29)に、出版のイロハを聞く後輩のタケシ(28)とあおい(26)。
舞台はあれから半年後の、2009年 春ーーー
聡美に憧れる純真なあおいは、聡美の成功体験に触発され、自分のブログを題材に詩集を完成! 一度は出版を断念したタケシも、お蔵入りにしていた小説を書き足して、念願の恋愛小説を書き上げた。そして、聡美も二冊目を…!?
喜びに湧く三人2009年春。
聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)は、久々に再会した。
それぞれの手には、それぞれの形の本。
三人が堂々としている理由こそが、それである。
三人はあれから思い思いの出版活動に入った。
そして、ようやく三人とも、出版を達成。
さながら出版記念パーティーといったノリで、浮き足立っているようだ。
*
「タケシの小説、読ませてもらったわよ〜! なんか、あれ、私たちの大学時代そのものじゃない? リアル過ぎて、キュンとしちゃったわよ〜(笑)」
聡美はにこやかに核心をついてくる。
「いやだなぁ〜、聡美先輩ったら。フィクションですよ、フィクション!(苦笑) それより、あおいの詩集もあおいらしく、甘酸っぱくて良かったなぁ」
慌てたタケシは、話を変えようと必死にもがく。
「ありがとうございます。なんか、周りの反応って、思った以上に嬉しいものなんですねぇ。“私らしい”とか、“意外な一面を感じた”、とか。そういう反応って、当たり前だけどこの本がなかったら絶対に聞けなかった声なわけだから、豊かな気持ちになりますね〜」
あおいの率直な感想に、三人とも自然にうなづいている。
きっかけは聡美の自費出版三人は、半年前をそれぞれ振り返っていた。
きっかけは聡美の自費出版。
聡美が自費出版に踏み切った想いや勇気に共感しつつ、世界有数の“発信欲・表現欲が湧き出ている国”のハズなのに、出版という敷居が依然として高い日本出版界の特殊事情に憂いを感じた。その潮流は自費出版ブームという形で盛り上がる一方で、タケシが一度はあきらめかけたように、ダイヤの原石も日の目を見ない“自費出版産業の現実”に苛立ちを感じた。
そこから先は、早かった。
演劇部時代、どんなテーマも巧みに脚本にしてしまうことで“奇跡のシナリオライター”と慕われたタケシは、お蔵入りにしていた小説を再度掘り起こし、見事、ライトノベルとして作品化し、長年の夢を実現させた。
聡美を師と仰ぐあおいは、先輩の出版秘話にインスピレーションを受け、好調のブログをベースに詩集を作り上げた。
「聡美先輩も新作を練っているところですって?」
あおいは、聡美の担当編集者からこっそり聞きつけたようだ。
「そうなの! これまでの私をただまとめただけ、という感じだったあの本が、意外な反響みたいで、次回作を期待されちゃってるのね」
聡美は淡々と話そうと努めているが、もちろん嬉しさを隠せるような人ではないことは、タケシもあおいも織り込み済みだ。
もちろん、作り上げたことは第一の喜びだと、聡美は言う。
ただ、それ以上の未知数が、自費出版の魅力でもある、という一言が、ためらうタケシやあおいを大きく後押ししたことは間違いない。
自費出版をすることで掴む価値は人それぞれであり、著者の数だけそれはある、という。
自費出版によって手にするのはその本以上であり、それは自費出版以外では掴めないものである、という。
舞台はあれから半年後の、2009年 春ーーー
聡美に憧れる純真なあおいは、聡美の成功体験に触発され、自分のブログを題材に詩集を完成! 一度は出版を断念したタケシも、お蔵入りにしていた小説を書き足して、念願の恋愛小説を書き上げた。そして、聡美も二冊目を…!?
これまでのあらすじ
聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)は、大学の演劇部時代の仲間で、ブログを軸に今でも頻繁に交流している仲良し3人組。聡美はブログを書籍化した経験を後輩のタケシやあおいに話すが、実はタケシは私小説の自費出版を断念した過去があり、切ない想いをしていた。一方で、聡美に憧れるあおいは、出版のことを知っていくうちに、自分も本を出すということに挑戦してみようと思い立つ。
聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)は、大学の演劇部時代の仲間で、ブログを軸に今でも頻繁に交流している仲良し3人組。聡美はブログを書籍化した経験を後輩のタケシやあおいに話すが、実はタケシは私小説の自費出版を断念した過去があり、切ない想いをしていた。一方で、聡美に憧れるあおいは、出版のことを知っていくうちに、自分も本を出すということに挑戦してみようと思い立つ。
喜びに湧く三人
聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)は、久々に再会した。
それぞれの手には、それぞれの形の本。
三人が堂々としている理由こそが、それである。
三人はあれから思い思いの出版活動に入った。
そして、ようやく三人とも、出版を達成。
さながら出版記念パーティーといったノリで、浮き足立っているようだ。
*
「タケシの小説、読ませてもらったわよ〜! なんか、あれ、私たちの大学時代そのものじゃない? リアル過ぎて、キュンとしちゃったわよ〜(笑)」
聡美はにこやかに核心をついてくる。
「いやだなぁ〜、聡美先輩ったら。フィクションですよ、フィクション!(苦笑) それより、あおいの詩集もあおいらしく、甘酸っぱくて良かったなぁ」
慌てたタケシは、話を変えようと必死にもがく。
「ありがとうございます。なんか、周りの反応って、思った以上に嬉しいものなんですねぇ。“私らしい”とか、“意外な一面を感じた”、とか。そういう反応って、当たり前だけどこの本がなかったら絶対に聞けなかった声なわけだから、豊かな気持ちになりますね〜」
あおいの率直な感想に、三人とも自然にうなづいている。
きっかけは聡美の自費出版
きっかけは聡美の自費出版。
聡美が自費出版に踏み切った想いや勇気に共感しつつ、世界有数の“発信欲・表現欲が湧き出ている国”のハズなのに、出版という敷居が依然として高い日本出版界の特殊事情に憂いを感じた。その潮流は自費出版ブームという形で盛り上がる一方で、タケシが一度はあきらめかけたように、ダイヤの原石も日の目を見ない“自費出版産業の現実”に苛立ちを感じた。
そこから先は、早かった。
演劇部時代、どんなテーマも巧みに脚本にしてしまうことで“奇跡のシナリオライター”と慕われたタケシは、お蔵入りにしていた小説を再度掘り起こし、見事、ライトノベルとして作品化し、長年の夢を実現させた。
聡美を師と仰ぐあおいは、先輩の出版秘話にインスピレーションを受け、好調のブログをベースに詩集を作り上げた。
「聡美先輩も新作を練っているところですって?」
あおいは、聡美の担当編集者からこっそり聞きつけたようだ。
「そうなの! これまでの私をただまとめただけ、という感じだったあの本が、意外な反響みたいで、次回作を期待されちゃってるのね」
聡美は淡々と話そうと努めているが、もちろん嬉しさを隠せるような人ではないことは、タケシもあおいも織り込み済みだ。
もちろん、作り上げたことは第一の喜びだと、聡美は言う。
ただ、それ以上の未知数が、自費出版の魅力でもある、という一言が、ためらうタケシやあおいを大きく後押ししたことは間違いない。
・身近な人たちこそが示す、意外な反応の数々とさらに深まる親交…
・書店で自著を手にしたお客さんを偶然見た時の、手に汗握る気持ち…
・見知らぬ読者からの感想のお便り(その多くは感謝の手紙)…
・疎遠になっていた古い友人たちからの連絡…
・そのほか、一部とはいえ、自費出版発のベストセラーやドラマ化・映画化も増加傾向という事実…
・書店で自著を手にしたお客さんを偶然見た時の、手に汗握る気持ち…
・見知らぬ読者からの感想のお便り(その多くは感謝の手紙)…
・疎遠になっていた古い友人たちからの連絡…
・そのほか、一部とはいえ、自費出版発のベストセラーやドラマ化・映画化も増加傾向という事実…
自費出版をすることで掴む価値は人それぞれであり、著者の数だけそれはある、という。
自費出版によって手にするのはその本以上であり、それは自費出版以外では掴めないものである、という。
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