シリーズ累計400万部突破の
『自分の説明書』シリーズ
「○○の戦略」「○○の成功法則」といったタイトルで埋め尽くされる本屋の書棚。一方で、大ヒットを続ける『B型自分の説明書』シリーズは、戦略や法則ではなくたった一つの「意志」が出版を決めたという。
その「意志」とは、「自費出版」という形。そう、『B型自分の説明書』は「自費出版」だった!
大手出版社に原稿を持ち込んだとしても、出版には至らなかったかも知れない、と関係者が語る、その「意志」の正体とは?

本を愛する仲良し3人組、聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)が、日本の特殊な出版事情から、『B型自分の説明書』出版に至る「意志」を探っていきます。


「わたしが本を出した理由」は、大学の演劇部時代の仲良し3人組、聡美(29)・タケシ(28)・あおい(26)が、日々の生活の中のふとしたきっかけから、あることに気付き、挑戦していく姿を描いた、サクセスストーリーです。



都内の大型書店にやってきた、
聡美・タケシ・あおい
「いつ来てもこの広さにクラクラするよなぁ〜」
子どもみたいな感想を言うタケシ(28)。読書家のタケシでも毎度、大型書店にそびえ立つ書棚のジャングルには圧倒されるという。

つい先日、自分のブログを書籍化したという聡美(29)先輩に連れられて、出版に興味を抱くあおい(26)と三人で、都内の大型書店を訪れてみたのだ。

「大都市ではこの店のように、売り場面積数千坪、在庫100万冊なんていう超大型書店もあるけど、地方の書店はそうもいかないの。一冊一冊の品揃えに四苦八苦しているのよ。厳選した商品を仕入れて、スペースに限りのある売り場に並べても、売れ残ったら、すぐに返品だもの…」
聡美はブログ本の出版の際に、担当編集者から日本の出版事情といった知識を仕入れたらしい。
ただそうやって得た情報を、惜しげもなく後輩に伝えるところが、清々しい。

「聡美センパイ、返品ってどういうこと? 仕入れた本は、書店にずっと置かれるわけじゃないんですか?」
最年少のあおい(26)の質問はいつも鋭い。

「出版物には『委託制度』※というルールがあるのよ。
 すごく簡単に言うと、書店は一定期間内であれば自由に発行元に返品できる仕組みのこと。このお陰で書店は売れ残りを気にせず、色々な出版物を安心して仕入れることができるし、常に新鮮な品揃えを並べることができるわけね。
 オンライン書店が増えても、リアルな書店で手に取って選びたいという消費者心理も根強いから、陳列自体が宣伝効果になるわけ。多種多様な出版物を並べておくことは、出版社、書店、読者の三者にメリットがあるのね」
聡美の説明は、あおいを完全に満足させたようだ。

「僕がコンビニでバイトしていた時、仕入れ過ぎた弁当が売れ残って大量に廃棄してたことと比べると、本が返品できる仕組みって凄いなぁ…。でも、本屋の店頭ディスプレイが、次から次へと替わっちゃうって、そのせいじゃないですか?」
今度は、タケシが疑問を投げかける。

「うん。それが委託制度の課題ね。
 書店の独断で『売れない』と見切りをつけられた書籍は、すぐに返品されちゃうってこと。あと、常に新鮮に見せるために、入れ替わりは日に日に早くなっていくようね。買おうか迷っていて、後日あらためて行ったら、その列ごと撤去されてた、なんてよくあること。本との出会いって一期一会だって言うけど、この異常なサイクルの早さはちょっと切ないものね」
聡美は、さすがに自著を出版した直後なだけに、本と読者の巡り会うことの少ない今の出版流通の仕組みに心底、悲しそうな表情をする。

※日本の出版を支える「委託制度」と「再販制度」
「委託制度」の他に、日本の出版流通の特徴のもう一つは「再販制度(再販売価格維持制度)」です。
これは、出版社が定めた定価での販売を書店に厳守してもらう制度で、このために地域格差がなく全国どこでも同一価格で購入できるようになります。読者が出版物に接する機会の均等化がはかられると共に、出版社の自由な出版活動が守られ、様々な出版物が供給されます。