すでによく知られていることだが、お役所というのはガチガチの縦割り組織である、ひとつの許認可をもらうのに、同じ省庁のあっちの課とこっちの課の両方に申請を出す必要があるなどということはザラである。

お役所のほうでも、これは問題だという認識はあって、折しもITがブームだった1999年頃、各省庁を横断した電子申請システムを作ろうという動きがあった。一度で全ての用事が済むという意味を込めて、このプロジェクトは「ワンストップサービス」と名付けられた。


ワンストップサービスの概要は、各省庁の中で最も地域に密着した組織を持つ郵便局(旧郵政省)に専用のの端末を設置し、「とにかく郵便局に行けばあらゆる申請手続ができる」という状況を作ろうというものだった。

しかし、同じ時期に断行された省庁再編の結果、郵政省は郵政事業庁に格下げされ、その後民営化の道を歩み、計画は頓挫。やがてe-Japanのかけ声の下「電子政府」なるものが提唱され、各省庁がバラバラに電子申請システムを構築した。

だが、電子申請といいながら電子化されたのは申請書の一部だけで、添付書類は持参する必要があったり、本人認証を行うためにICカードリーダーを購入する必要があったりして、利用率は著しく低いか、ほとんど利用されないものが続出した。

現在の政府の主要IT施策はu-Japanである。uはユビキタス社会を意味し、生活のあらゆる場面にコンピュータや情報機器が存在し、生活が飛躍的に便利になる社会が2010年に到来することを旗印にしている。しかし、メルクマールまで残り1年半を切った現在、10年近く前に提唱された「ワンストップサービス(1カ所で役所手続きが済む)」社会すら実現していない。

IT業界の人ならば、1980年代のシグマ計画、第5世代コンピュータの失敗や、90年代末の閑散とした「インパク」(インターネット博覧会)や、成果らしい成果のない電子政府など、国の行うITプロジェクトがことごとくダメダメなのはご存じだろう。
成果が出ない決定的要因は、「顧客満足」という視点を欠いていることだ。民間なら真っ先に検討すべき課題である。ここで言う国の顧客は国民である。

たとえば、市民町作りセンターのような施設に、行政書士と補助者(退職公務員などがよろしい)を置いて、役所手続きの道案内をするような仕組みを作ったらどうだろう。使えないシステムを開発して野ざらしにしておくより、よほど人に優しい行政が実現できるのではないだろうか。

追記:
とっくに消えたはずの「ワンストップサービス」の文献が未だにネット上に置かれている。
最終更新は8年前で止まっている。
http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/990402a.htm

【まだまだいます♪ ”親方日の丸”な人々】
公務員バッシングにアッカンベェfrom公務員

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