■今作では前作以上に、水野さんと山下さんの曲の個性が明確に表れてきたなと感じているのですが、お互いに相手の曲をどう受け止めているのですか?

山下:まだデビューしてからCDになった曲は限られているんですよね。何年も色々な曲を作ってきた中のまだ氷山の一角なので。ただ、良樹がシングル曲を多く書いていったりすると、アルバムに入れることは確実じゃないですか。それを受けて選曲をするので、どうしても俺は良樹とは違う方向になるんですよね。これが逆転することもあると思うし、今までも頻繁にそういうことは起きていたので。特にデビューしてからなんですけど、良樹はすごく分かりやすい曲を書く方が、逆に俺は観念的な世界観とかマイナー調で歌謡曲チックな曲を出したりすることの方が多いですね。ただ元々、良樹が曲を書くのを知って、「その辺の高校生だった友達が曲を書けるんだ!」と思って俺は曲を書き出したので。良樹がこういう曲を書いてきたら「俺もそういう曲を書いてみよう!」と思うこともあるし、その逆もしかりだと思うので。あまり意識はしていないんですけど、無意識の内に影響し合っているとは思いますね。

水野:全く同じですね。今は自分のやっているものと逆の所をちゃんと走っていってくれるというか、いつもお互いにコース取りをしているので。でも昔、山下が書いた詞に僕が手を加えるみたいなことを一回やったことがあって、その時に「言葉の感覚が全然違うな」と思ったんですね。このメロディにどう言葉を乗せるか、どういう発音を乗せるかという所の感覚が全然違うし、何の言葉に重要性を持たせるかということも違うし、人間としての個性の違いがすごく出るんだなと(笑)。山下は匂いのある言葉が多いので、そこは違うなと思います。でも、なんだかんだでお互いに刺激を受け合っているというのは、曲を作り始めた高校時代からずっと同じですね。それはすごく特殊というか、競争し合えて、意識し合えたという所はすごく良かったな、と思っていますね。

■二人の曲を歌う吉岡さんとしては、それぞれの個性をどのように感じていますか?

吉岡:傾向としてなんですけど、山ちゃんの方は「性格が出るな」というのがあって。日頃から感覚のまま生きている、肩の力の抜けた人なので、すごく自由人なんですよ。「いつも変わらない自分でいたい」とか思っていると思うんですけど(笑)。そういう精神的な部分が自然と曲に入っていくというか、思ったことをそのままスルーっと曲にしてくるので。それが普段の山ちゃんとあまり変わらないので、すごく理解できる感じがするんですよね。よっちゃんの方は、歌詞と曲がいっぺんに出来てきたとしても、それから言葉を結構練ったりするんですよね。「このメロディだったら、この言葉かな?この響きの方が合うかな?」とかやったりするので、歌うのが難しい曲があったりしますね。「SAKURA」とかメロディが上下に行ったり、低い所にずっといたり、急に上がったりするんですよ。だから、未だに苦労するんですけど、「すごく歌い応えがあるな」というのはありますね。

■水野さんの性格が曲に出ることはないですか?

吉岡:パァーっと明るい曲を書いても、どこかに切なさが残ってしまう、みたいな所はあるかもしれないです(笑)。