■Kさんは、自分の実体験に基づいて歌詞を書くのか、自分とは違う誰かを想像して書くのか、どちらが多いですか?

K:今回の「Birth of Treasure」の場合は、親に対する自分の気持ちをそのまま書いたんですね。あと、子供からの目線だけじゃなく、逆に親からの目線も書きたくて。でも、実際に僕は結婚もしていなくて子供もいないから「どうしよう?」と思っていたら、ちょうど去年の今頃、兄に二人目の子供が産まれたんですよ。僕はその頃、日本に行っていたので、兄に電話して「おめでとう!」と言ったら、兄がすごく幸せそうな感じで「ありがとう!」と言ったのを聞いて。すごく生き生きしていて、今までそんな兄を見たことがなかったので、自分の子供というのはこんなにも大事なものなんだな、と思って。そういう親になった気持ちも考えつつ、両方の目線で考えましたね。

■カップリングの「TRUST ME」は若干、略奪系の恋愛に積極的な主人公ですが、実際のKさんと近い部分はありますか?

K:実際に僕が書いたんですけど、どうなんですかねー?(苦笑)。この曲は、僕のバンドメンバーの、ギターの福原さんと一緒にスタジオに入って、何も考えずに「せーの!」でセッションでメロディを作りました。何もネタが無かったので、その場の勢いでメロディからイメージして詞を書き出したり、メロディも直したりしていたんですけど、ちょっとエロいイメージがあったんですよね。でも今までにもそういう曲は何曲かあったので、全く同じよりは、純粋だけど下心をもっている男の人を表現してみたくて。だから、詞の内容にはそういうエロい所を出さずに、メロディや歌い方、オケの感じやアレンジをエロくして、下心を表現してみたんです。

■デビューシングルから、カップリングに他のアーティストのカバー曲を収録されていますが、最初からずっと続けるつもりで始めたんですか?

K:そうですね。元々、洋楽が好きで、自分でピアノでアレンジして歌ったりしていたので。自分の歌を他の形でも表現したくて、シングルに1曲ずつ入れようというのは最初からあったんです。カバーをやると、オリジナルではできない表現やアレンジ、歌い方がいっぱい出てくるので、色んな意味ですごく勉強になるんですよ。また、それをオリジナルを作る時にも使っていたり、そういうニュアンスを出していたりするので。これからも、いっぱいやっていきたいですね。

■今年3月にカバーアルバム「The TIMELESS Collection VOL.1」を発表されていますが、選曲はどういう基準で行うんですか?

K:「To Be With You」は、自分が昔からすごく好きでやろうと思った曲なんですけど、そういう曲とあとは全然、自分が今まで聴いたこともないジャンルの曲とかをオススメしてもらうのと、半々ぐらいですね。自分が好きなアーティストの曲だと、やっぱりプレッシャーもあるし、尊敬している所があるから、そのアーティストの味が出たりするんですけど。全く今まで聴いたこともない曲だと、消して書くんじゃなくて、真っ白な紙の上に書くだけなので面白くて、色んなものが生まれるんですよね。

■他のアーティストの曲だと、自分の曲以上に気を遣う部分もあるかと思うのですが、何か気を付けていることはありますか?

K:僕がカバーする曲は、すごく有名で大ヒットした昔の曲が多いので、その曲のファンもいっぱいいるし、プレッシャーもあるんですけど、やってみるとそうでもないんですよね。自分がやって楽しい気持ちになれて、自分の味が曲に出ていればいいかな。それが一番大事だと思うんです。カバーをするというのは、自分だけの味にしないと、そのままのカバーになるのは意味が無いなぁと思うんですよ。だからいつも、まずレコーディング前に「どういう歌い方をすれば自分の味、自分のオリジナルみたいな曲に聴こえるんだろう?」って考えるんですよね。元のオリジナルだけじゃなくて、その曲をカバーしていた色んなアーティストの音楽も聴いてみたりもしています。

■「To Be With You」は、10年以上前の曲だと思うので分からないのですが、キーは原曲と同じですか?気のせいか、Kさんの方が高いような気も…。

K:キーをどうしよう?という感じになって、下げたり上げたり色々してみたんですけど結局、元々のMr. Bigのキーが一番ハマりやすくてキレイだったんですよね。色々とカバーしている方も多かったですけど、自分はやっぱり元々のキーが一番グッときましたね。