昨年末にシングル「Tears〜涙は見せたくない〜」でデビューを果たした、若干17歳の女性ロック・ヴォーカリスト、宇浦冴香(ううら さえか)。自らの作詞による10代ならではの抑え切れない衝動や心の葛藤を描いた前作に続き、3月14日にはB'zの稲葉浩志が初めて他のアーティストに作詞・作曲した楽曲を提供したことでも話題のセカンドシングル「Sha la la -アヤカシNIGHT-」を発表。先月17日には東京初ライブとして愛内里菜のバレンタインライブにゲスト出演して、170cmの長身から伸びやかで張りのある歌声を披露した。デビューから2ヶ月半が経ち、公表されているプロフィール以外では、まだまだ謎の多い彼女の魅力に迫った。

■16歳の頃に音楽の道を志されたそうですが、それ以前は歌手になりたいとは考えていなかったのですか?

宇浦冴香(以降、宇浦):小さい頃から自分の悩みや想いを詞にしたり、ストレス解消では歌っていたんですけど、自分が誰かに何かを伝えるために、歌い手になるとは全然考えていませんでした。

■それ以前は、将来何になりたいと思っていましたか?

宇浦:中学校の文集には「高校の教師になりたい」と書いていましたね。自分自身、先生から学ぶことが大きかったので。音楽も一緒だと思うんですけど、すごく影響力があるじゃないですか。自分が人見知りで想いや悩みを言いにくかった分、それを誰かに伝えたかったので、自分の考えを伝えることが出来る教師の仕事が魅力的でした。

■歌うことは以前から好きだったのですか?

宇浦:最初はあまり自分の声が好きじゃなくて、録音した声と自分の耳から聞こえる声とのギャップが埋められなくて。人見知りが激しかったのと、自分の声に自信がなかったのとで、歌うといっても家族や仲の良い友達の前ぐらいで。

■楽器は何かやっていましたか?

宇浦:3歳からピアノをやっていたんですけど、小学校でやめてしまいました。

■特技に剣道と書かれていたので、ひょっとして体育会系の方なのかと思ったのですが、どちらかと言えばアウトドアというよりインドア派でしょうか?

宇浦:人ごみが苦手なので、休みになると家で本を読んだり、詞を考えたりという感じなので。剣道が好きだったり、体育祭では応援団もやっていたんですけど、別にそんなにアウトドアじゃないですね(笑)。特に剣道の精神性や根性というか、すごく厳しかったので自分の中で鍛えられた部分が大きいです。

■歌手になりたいと思ってから、デビューが決まるまではどの様に進んでいったのでしょう?

宇浦:内にこもってしまう自分を変えたいと思ったきっかけがあって、ちょうどその時にオーディションの話があったので。自分が作詞をすることも、歌うことも好きだと考えた時に、やっと自分の中でその二つが繋がって。自分の想いを伝えたい、そのためには歌い手として音楽の道を目指したいなと思ってオーディションを受けました。

■詞を書き始めたのはいつ頃から?

宇浦:詞とも言えないような物なんですけど、自分の想いを綴る作業というのは小学校3年生ぐらいから。

■友達に自分の書いた詞を見せたことは?

宇浦:全然ないですね、もうダークネスなんで(笑)。見せられないです。

■普段から歌詞を書き溜めていますか?

宇浦:あまり毎日、根を詰めて詞を書こうとは思っていないんですけど、常にノートを持っていて、通学の電車の窓から見える空とか、友達と話している中でも影響は受けるので、ふとした時に思い浮かんだら書き留める感じですね。詞の中に空の描写を入れるのが自分の中でポリシーと言うか、結構入れてしまうことがありますね。

■ここ最近で、詞の書き方や内容で変わってきたと感じる部分はありますか?

宇浦:もともと自分の悩みや想いを綴っていたので、何も解決せずに暗いままで終わっていた詞が、伝える立場を得たことによって、悩み抜いた中から得られた自分なりの答えを、前向きな一歩を踏み出す力として少しでも伝えられるようにしたい、ということに意識が変わってきました。人に伝えることによって、少し気が楽になれたり、人が笑顔になる楽しさをじるようになったのが1番変わったことですね。

■聴く人のイメージをされて書くようになりましたか?

宇浦:聴いて下さる方のイメージというよりも、自分自身が思って、自分なりに答えを出すことによって、具体的な内容は違っても、悩みって共有できる物が絶対にあると思うので。自分に正直に書くことによって、より近い存在になれたり、繋がりを持てると思うので、聴いて下さる人ありきなんですけど、自分自身の素直な想いを書いていますね。