勤続疲労を背負いながらラ・リーガ終盤戦を戦っていた昨季から一転、今季のソシエダでは慎重なプレータイム管理がなされているMF久保建英。ピッチに立つことができない時間帯には少なからず葛藤も抱えているようだが、その立場は自身のパフォーマンスをさらに上げることで変えていく構えだ。
代表活動前のバルセロナ戦(◯1-0)では攻撃面のハイパフォーマンスだけでなく、鬼気迫る運動量で守備面にも高い貢献度を見せ、マッチMVPを受賞した久保。「中2日で毎試合あの強度でプレーしろと言われたら無理ですし、ターンオーバーだったり、前の試合は50分くらいで交代していたのもあって助かったのはありましたね」。久保自身もそう振り返るように、今季の負荷軽減策は一定の成果が出ていると言える。
ただ、この11月こそセビージャ戦、ビクトリア・プルゼニ戦、バルセロナ戦と公式戦3試合連続の先発が続いているが、それ以前の公式戦連続先発は9月の国際Aマッチウィーク前まで遡る。とくにチームの結果が出ていない時期は大きな葛藤があったようで、インドネシア戦を控えた取材対応の場で久保に今季の起用法について問うと、次のように思いを明かした。
「使ってくれよって思いますよ、それは。どこのチームでもどの立場でも僕は試合に出たいんで。特に感情を隠せるタイプでもないですし、どうしてもやっぱり出ちゃうものは毎回あるというのはあります」
ただ、久保は言葉を続けた。
「でも、今は結果が出てるんで。結果を出せば使ってもらえるのはわかっていますし、自分のパフォーマンスを上げていくことで試合に使ってもらえる回数も増える。使ってもらったとしても50分で交代とか、そういったこともあるし、そういう時ももっと出たいとは思いますけど、自分のパフォーマンスが悪かったらそれは口だけの選手になっちゃうので、今みたいなプレーを続けていけばもっと自分も要求できるのかなと思います」
ボール保持時のワンプレー単位で見れば、多くの試合でラ・リーガ上位勢のウインガー陣に迫るような圧倒的な存在感を放っているが、数字としては3ゴール0アシスト。「今季のソシエダの出来であれだけやれてたら僕個人としては満足はしているけど、もっと点に絡みたいなと思う。アシストのところは正直自分じゃどうにもならないので、もっと得点を決めたい」。自らに矢印を向け、自らの手で評価を掴み取る気概を見せる。
その高い視座の根本にあるのは、世界的プレーヤーとしての自覚だ。
「プレーに対して結果がついてきていないのはもったいないって記事をどこかで見ましたけど、その通りだと思う。あれだけのプレーでアシストも点もつかないのは、前回のバルサ戦なんか特にもったいないなとは自分では思います。勝ってるし、サッカーわかる人はわかってくれていると思うのでいいんですけど、僕ら世界レベルの選手になると、サッカーをわかっている人だけにプレーするわけじゃない。そういったところで目に見える結果を求めていきたいです」
限られたプレータイムにも、個人成績につながらないチーム状況にも、たしかに複雑な思いはある。それでも久保建英は目の前の現状と真摯に向き合い、23歳の1年をより前向きな未来に導いていくつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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